縁石の高さと点字ブロック

2017年05月17日 10:30

英国リスバーンの中心市街地整備にあたり、車道と歩道の境にある縁石の高さについて計画の30ミリメートルを60ミリメートルに高めるように求めた視覚障害者の主張が認められた、とBBCが報じている。BBCは「landmark(画期的)」という表現で訴訟の成果を評価している。

縁石が低いとどこから車道が始まるかわからないので危険だと、この視覚障害者は「平等法(Equality Act)」に基づいて訴訟を起こした。「平等法」は1995年制定の障害者差別禁止法を発展させ、2010年に制定された英国法である。

彼女が求めたのは歩行と直角方向の縁石の高さである。平行方向、交差点で車道を横切る際の歩道と車道の段差はどのように定められていただろうか。あまりに高いと車いすで乗り越えるのが厄介だ。また、交差点を示す点字ブロックはあるのだろうか。リスバーン市のサイトで調べたがうまく見つけることができなかった。

わが国では、国土交通省が1985年に「視覚障害者誘導用ブロック設置指針」を定めた。歩道には歩行方向を「誘導」する線状ブロックを、交差点などには「警告」を意味する点状ブロックを設置するというのが指針の内容である。

指針に沿ってきちんと整備されていれば、直角方向にも平行方向にも情報が得られるので、視覚障害者は安全に歩行できる。日本発祥ともいわれる点字ブロックの国際標準化をわが国は推進し、2012年に、ISO 23599 “Assistive products for blind and vision-impaired persons – Tactile walking surface indicators”が成立した。

しかし、国際交通安全学会が2008年に実例付きで指摘したように、線状ブロックと点状ブロックを混同して使用している場合もある。通りを歩いていても、依然として、同じ問題に気づく。写真は歩行方向と直角に、歩道のほぼ端から端まで線状ブロックが張られた国道246号(港区北青山)である。

せっかく国際標準にまでたどり着いた点字ブロックが間違って使われているのはもったいないし、視覚障害者の安全にも役立たない。2015年に施行された障害者差別解消法第5条に基づいて、道路管理者には「自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備」を着実に進めるように求めたい。

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