となりのトトロと子どもの「遊び方創造」 --- 船水 誠

2017年05月21日 06:00

スタジオジブリの映画『となりのトトロ』で、サツキとメイとお父さんがクスの木に挨拶に行き、帰りにお父さんが急に「家まで競争!」と言って走り出すシーンを覚えていますか?楽しそうに走り出すサツキと、追いかけるメイ。

別のシーン、メイが一人で庭で花を摘んで遊んでいて、机に向かって仕事中のお父さんに「お父さん、お花屋さんね」といって花を置きます。忙しそうだったのにお父さんはその可愛らしい花とメイの行為を見て微笑みます。

「歩いて帰る」が「かけっこ」という遊びなり、「一人で花を摘む」が「お花屋さんごっこ」になることで、何気ない行動が更に楽なりますね。

実は、こうした遊びを創り出す行為が、価値のあるプロダクトやサービスをつくる力になるということをご存知ですか?私は、「アプリSUM!」という知育アプリを開発したのですが、これも計算機をおもちゃにしてみようというコンセプトで考えついたものです。

私の幼少期は、近所の子供達がほどんど自分より年下で、毎日のように「兄貴」と遊ぼうと集まってくる年下の子どもたちといっしょに過ごすことが多く、定番の鬼ごっこや高おに、色おに、缶蹴り、ダルマさんが転んだなどをして遊びました。遊びの種類はあっても、毎日やっているとさすがに飽きてくるもので、「え〜、また缶蹴り?」と文句をつけてくる弟分たち。だから、缶蹴りとだるまさん転んだを合体して「だるまさん缶蹴り」をしたり、全く新しい遊びを考えたりすることが毎日続くこともありました。この経験は、与えられたもので遊ぶのではなく、自ら遊び方を考えることで創造力を養います。また、考えた遊びを友達に体験してもらい、自分でも遊んでみることで思ったよりもおもしろくなかったり、想定していなかったところがウケたりと、いろんなことがわかり、人の意見も即座に聞けます。面白くなければさらにアレンジを加えてみんながより楽しめるように改善します。良いことだらけですね。

単純におもちゃやゲームで遊ぶことと、遊びを創り出してみんなで遊ぶことを比較してみると

<与えられた遊び方だけで遊ぶ>・遊び方やゲームの数だけでしか遊べない
・新しい刺激を得るには次の遊びが必要
・つまらなくなることがその遊びの終わりになる

<自分で遊び方を考える>・遊び方は無限大になり、尽きることがない
・人の意見を元に改善し、次回にその経験を活かせる
・あるものの中で(制限された条件で)ものを作る力が養われる
・つまらなくなることは、次の遊びへのスタートになる

私が小学校2年生くらいに考えた遊びを紹介します。

「長たまごオニ」

チョークで道路になるべく大きな、長いたまごような形を書きます。オニ(最初一人)は瞳の中、その他のプレーヤーは白目の中に立ちます。それぞれ、その境界線から出てはいけません。プレーヤーはオニにタッチされずに白目を10回回ることができればアガリ。回る度に回数を声に出します。オニは捕まえたプレーヤーと交代しますが、その捕まったプレーヤーの周回数を引き継ぐことができます。例えば3周回ったプレーヤーを捕まえたオニは、3周終了したプレーヤーになれるんです。プレーヤーたちは、狭いエリアをオニに触られずに抜けられるように互いに協力してオニをひきつけたり、オニは誰を優先して捕まえるべきか考えたりできて、とても楽しく遊べたことを覚えています。

遊びをつくるのは屋外だけではなく、どこでも、なんでも良いんです。レストランで食事が来るまでの間、ナプキンに適当に図形を描き、それを他の人が何かの絵にする、とか、「色オニ」ではなく「しりとりオニ」(家の中ので、特定の文字から始まるモノに触っている間はオニに捕まらない)とか。楽しくなかったらどんどんアレンジ。何も買う必要はありません。

慣れてくると、自然に遊びを考えるようになり、面白いことが創造できるようになってきます。人が喜ぶもの、楽しいと思うものを実感しながら作っていけるようになり、自然に、何からでも面白いものが創れるようになります。

更に、家にあるものや公園、学校など、いつでも、どこでも遊べるようになり、最新のゲームがなくても常に刺激に満ちた遊びができます。私はそういった幼少期の経験を経て、何からでも遊びを創り出せるようになりました。

さあ、大人も子どもも、全てをゲームにしてみましょう!そして、面白い遊びのアイデアを是非聞かせてください。

船水誠(Mac Funamizu)
株式会社あんふぁに 代表取締役

社会人として始めの10年は英会話の講師と通訳。コミュニケーションが大好きで、講師として生きていくはずが、2005年にデザイナーに転身。デジタル全般及びプロダクトデザイナー、クリエイティブディレクター。デザイン思考での事業構想・サービス設計を手がける。レッドドットコミュニケーションデザイン賞 2016、MUSE CREATIVE AWARDS プラチナ賞 2016、グッドデザイン賞 2015など各賞受賞。

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