朝井リョウよりも先に、就活小説を書いていたのだ

2017年05月24日 11:30



自分でもびっくりしているのだが、2011年に発表した就活小説『就活の神さま』(WAVE出版)の電子版がリリースされた。嬉しいな。

いわゆる、ビルドゥングスロマンである。普通の学生晃彦が、バイト先の元広告代理店社員ジミーさんの指導を受けながら、就活を乗り切っていくというものである。

個人的に描きたかったのが「人が人を育てる」という連鎖だ。「即戦力採用」なる言葉が流布し、若者に完成品を求めるかのような風潮があった時代、それって違うんじゃないかと思っていたりしたのだ。翌年、私は代表作『僕たちはガンダムのジムである』(ヴィレッジブックス 文庫版は日本経済新聞出版社)をリリースするのだが、私の問題意識である「普通の日本人にとってどうなのか」という視点は、この『就活の神さま』の頃から強くなっているような気がする。海老原嗣生さんにもこの問題意識は、私の「伝家の宝刀」と言われたのだが。

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ところどころ、ロックなネタを入れているのはご愛嬌ということで。この「カート・コバーンは就活しねえ」というセリフは、書き始めた初期に考えた、絶対いれたいセリフだった。

私がこの本を出した1年後には、朝井リョウが『何者』をリリースし直木賞を受賞し、ベストセラーともなり、映画化までされたわけだが。才能、人気の違いを見せつけられ、悔しい想いもした。彼より1年前に私は就活小説を書いていたし。意識高い系が出現するのも、最後は面接で終わるのも一緒だったりする。

正直、就活関連の本を学生が買う時代ではなくなってきている。読書時間ゼロの学生も約5割という時代だ。就活も売り手市場になった。だから、今回の電子版も学生に売れるかどうかは疑問だ。

もっとも、伝えたいのは人が人を支える連鎖であり。特に就活を終え、社会に出た大人たちが「ああ、こういう時期が自分にもあったなあ」とか、管理職、先輩、親としてやるべきことは何かなどを考えるよいキッカケとなると思うので、ぜひ手にとって頂きたい。



最新作もよろしくね!おかげ様で、ロングセラーの勢い。バカ売れはしていないものの、常に売れ続けているんですって。ぜひぜひ。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年5月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師

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