歯科医に聞いた!将軍やファラオも歯周病に悩んでいた

2017年06月05日 06:00

写真右が森永氏(文化放送・玉川美沙ハピリー/2017年6月3日放送)

世界に先駆けて超高齢化社会が現実のものになっている日本。誰もが長い人生を「自分らしく生きたい」と願っている。ところが現実はそう簡単ではない。食が豊かになりすぎたことで、罹患リスクは高まり「悩める晩年」が社会全体を巻き込んでいるからである。

今回は、歯科医師であり、米国抗加齢医学会認定医として「米国発、最先端の抗加齢医学を誰よりもやさしく語れる歯科医師」として活動をしている、森永宏喜(以下、森永氏)に話をうかがった。

■口腔環境と腸内環境は連動している

――現在、歯周病は日本人が歯を失うもっとも大きな原因とも言われている。素朴な疑問だが歯周病はいつ頃からあったのだろうか。

「徳川家2代将軍秀忠公をはじめ6人の将軍が眠る港区芝公園の増上寺。その徳川家の墓所の調査から、将軍たちも歯周病に悩まされていたということがわかっています。また、古代エジプトのファラオや上流階級の人たちも、そのミイラの研究などにより同様の症状が見られたようです。」(森永氏)

「生活様式や生活習慣が現れるといわれる歯周病ですが、将軍たちは庶民よりも現代人に近い生活をしていたことがうかがえます。」(同)

――ここで、口腔環境と腸内環境についても整理しよう。食べ物はまず咀嚼によって細かく砕かれ、唾液と混ぜ合わされて消化が始まる。飲み込んだ食べ物は食道、胃、小腸、大腸へと進み消化吸収されていく。

「口は消化器官のスタート地点です。口腔と腸は物理的にはつながってはいても、機能的なつながりはうすく直接影響を及ぼしあうことはないと考えられていました。ところが、最近の研究によれば、歯周病菌をマウスに飲ませると、腸内細菌バランスが乱れるということが明らかになりました。」(森永氏)

「機能の面でも、口腔と腸は関係し合っているということがわかってきたのです。この関係は、新潟大学の研究結果で証明されました。」(同)

――具体的にはどのような研究だろうか。

「歯周病の代表的な病原菌である、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌(Pg菌)をマウスの口腔から投与するというもので、その結果、マウスの腸内細菌のバランスが変化し炎症を引き起こしました。口腔の環境が悪化すると、腸内細菌のバランスが乱れ、腸内環境も悪くなるということになります。」(森永氏)

「この腸内細菌は、ある種類のリンパ球の発達にかかわっているため、腸内環境が悪化すると、免疫機能の調節が難しくなります。」(同)

■歯周ポケットから侵入した細菌の毒は拡散する

――口腔は体に不可欠な栄養の入り口であり、さまざまな病気の侵入口にもなりうる。

「よく嚙んで食べることで唾液をたっぷり分泌すれば、その強い免疫力が病原菌をブロックし病気の侵入を阻止してくれます。口の中のよい状態をキープしていれば口だけでなく、直接つながっている腸内の環境もよくなります。腸内バランスを整えることは、全身の免疫力を強化することにもなります。」(森永氏)

「歯周病などで口の中が悪化すると、腸内バランスが乱れ、免疫力が低下していろいろな病気の引き金になります。また、歯周病の細菌が血管に入ると、全身の炎症を加速させます。」(同)

――口の中の細菌が体内のあちこちに運ばれるルートは、ほとんどが血管経由である。代表的な症状に「菌血症」がある。

「これは、細菌が直接歯周ポケットの血管から侵入したものです。血液中に入った細菌が、心臓の内側の膜、ときには弁膜にも付着し感染巣を形成して起きるのが感染性の心内膜炎です。この病巣からは、かなり高い頻度で口腔内の細菌が検出されています。」(森永氏)

「『虫歯くらい平気』『歯周病くらいどうってことない』などと侮っていると、いつの間にか全身に細菌がまき散らされていることにもなりかねません。口内の細菌は手強いことを理解しましょう。」(同)

――最近では、口腔の機能が健康維持に大きく関わっているという研究結果に注目が集まっている。油断して、将来を後悔することにならないためにも、「歯と口の健康」がいかに大切か、改めて認識する必要性がありそうだ。

参考書籍
全ての病気は「口の中」から! 』(さくら舎)

尾藤克之
コラムニスト

<アゴラ研究所からお知らせ>
―2017年5月6日に開講しました―

第2回アゴラ出版道場は、5月6日(土)に開講しました(隔週土曜、全4回講義)。
講義の様子「アゴラ出版道場第2回目のご報告

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