BBQで女性陣って言葉を使うおっさんがいる会社って嫌だよね

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「リア充、爆発しろ」

そんな言葉を最近、聞かなくなった。そもそも、「リア充」というキーワードもあまり聞かなくなったし、「爆発しろ」は世界中でテロが起こる時代に何かと不謹慎だ。「リア充」と「意識高い系」「パリピ」の境界線というか、ベン図はどうなっているのかという問題もある。

さて、その「リア充」という言葉が一般に浸透した頃、その象徴だと言われたのがBBQである。BBQをやるような連中は、リア充なのではないか、と。たしかに、BBQのメッカ、多摩川の二子新地寄りの河原や、葛西臨海公園、小金井公園などに行くと、いかにもサークルっぽい連中が楽しそうにBBQパーティーを開催している。最近は、手ぶらで行けるBBQも人気だ。お台場や新宿にもそんなスポットがある。BBQをウリにしているビアガーデンなんかも増えてきた。

そんな筆者も5月には、勤務先の学部をあげたBBQと、TBSラジオ「文化系トークラジオLife」のバーベキューに参加した。前者は学生と教職員の有志約100名、後者は関係者、リスナー合わせて60名の大規模なイベントだった。後者において私は幹事だったので、60名分の材料を買い出し、仕込み、クルマで持ち込んだ。おかげさまで、私の用意した漬け込み肉などは大変に好評だった。 前者は学生が中心で若すぎるくらいだし、後者はさすが文化系男女の集まりだけあって、おっさん臭いマナーの人がいなくてストレスがないのが良かった。

そう、ここなのだ。BBQは実は「誰とやる」のかが大事なのだ。いくらリア充風のBBQだとしても、マナーがダメな人たちとやると、ゲンナリしてしまうのである。そう、みんなに問いかけたいのだ。BBQは本当に楽しいものなのか、と。

以前、BBQをした際に、隣でやっていた連中たちが、あまりに男尊女卑のおっさん集団で興ざめだったことがある。まず、BBQのことをBBQ大会と呼ぶと一気におっさん臭さが増すという法則に気づいた。いかにも、西洋文化に触れていますアピール、的な。

それ以上に私が首を傾げるのは、というか嫌悪感さえ抱いてしまうのは「女性陣」という言葉をBBQで使う者たちだ。「女性陣」って、何か軍団の名前みたいだ。

「女性陣は野菜を切ってくれ」
「女性陣、肉が焼けたぞ」
という具合である。そこには、いかにも昭和の男女の役割分担、役職や年次をキーにした上下関係が存在する。しまいには、女性のことを「君」呼ばわりする人たちもいる。

「鈴木くん、女性陣並みからいうと、ワイルドなスペアリブの食べ方だね、ガハハ」的なノリである。

しかも、いかにもBBQ奉行っぽい存在の長老がダッチオーブンで作ったローストチキンなどは、みんなで驚かなくてはいけないという流儀まで決められていたりする。あぁ、面倒臭い。

一方、こういう場で「女子っぽさ」をウリにする若手女子社員なんかもいるからさらに面倒臭い。いかにも、私は調理をしない、肉を焼かない、全部、「男性陣」に任せるアピールである。

このただでさえ、男尊女卑、上意下達な世界の中に、さらに恋愛感情などが持ち込まれると、BBQは阿鼻叫喚の地獄絵図と化す。まさに、炭火が地獄の業火のように燃えるのだ。

まあ、これは役割分担が決まっているからまだ良いという見方もある。逆にリア充系のサークルや、意識高い系の異業種交流会(笑)BBQなどだと、「誰も何もできない」「みんなシロウト」なんてことがあって、これまた面倒くさい。

ちなみに、BBQパーティーで浮かないコツは、主導権を握ってしまうことだ。幹事をやる、何らかのパートの責任者をやるなどだ。さらに、自分の得意の料理などを持ち込むとポイントが高くなる。

私はいつもBBQに、特製漬け込み肉を持ち込むことにしている。豚のばら肉や、鳥のもも肉を、ナンプラー、オイスターソース、ニンニク、生姜、はちみつ、赤唐辛子、ごま油などを適当な量いれて、それを水で割ったものを用意し、肉をタッパーに入れて一晩漬け込む。これをレタスにくるんで食べるのだ。見た目もワイルドで味もいい感じ。こうやって「何か、技を持っている奴」アピールをすると、BBQの中で、単なるパシリにならず、威厳を保つことができるのだ。

というわけで、リア充の象徴と言われるBBQだが、別にやればいいというわけではないのだ。「誰とやるか」これが極めて大事なのだ。楽しそうなBBQも、修羅場なのである。羨ましがっても、しょうがないぞ。


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編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年6月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。