個人融資に性格テストを導入してみては?

2017年06月08日 06:00

以前、市役所等で法律相談を担当していた時、自己破産の相談を受けることがよくありました。このような相談の中には、年齢的にも若く心身も健康でありながら100万円前後の負債で自己破産をしたいと言う人がいました。

個人の自己破産が認められる要件は「支払不能」です(法人の場合は、「支払不能」と「債務超過」が要件になります)。若くて健康であれば、分割返済にすれば働いて返済することができるので、「破産決定は出ないでしょうから、簡裁で調停の申立等をして下さい」と回答します。

ところが、中には「借金の金額が少ないと自己破産できないのはおかしいですよ!それじゃあ、もっとたくさん借金をしろと言ってるのと同じじゃないですか!」と怒り出す人もいました。

彼ら、彼女らの怒りは、ある意味もっともだと思います。分不相応な生活をしたりムチャな事業展開をして1000万円の借金をすれば破産と免責が認められて借金がチャラになるのに、100万円の慎ましい借金だとチャラにならずに返済をしろと言われたのでは、なかなか納得できないでしょう。

これが自己破産のジレンマなのです。
もちろん、1000万円の借金をしてギャンブル等の遊興費に充てた場合は「免責不許可」となることがあり、法律的にはチャラになりません。

しかし、自己破産の決定はなされるので、消費者金融等の債権者は「税務上の損金処理」をして返済督促がしなくなるケースが多いのです。借金額の少ない人が自己破産を認めてもらうために更に借金をすると、「返済する意思がないのに借金をした」として詐欺罪に問われます(現実には詐欺罪の立証は難しいのですが…)。

こういう経験を通して私が悟ったのは、「返済するか否か」は債務者の客観的状況だけでなく主観に大きく左右されるということです。本人に稼働能力があって現実にそこそこの所得があっても、返済しない、返済できないタイプの人間が一定割合存在するのです。

その証拠に、任意整理を受任してムリのない範囲での分割返済の契約を各債権者と取り交わしても、数ヶ月経つと債権者から「今月分が入ってません」という連絡を受けることがよくありました。
依頼人である債務者に、失業や急な出費という特段の事情が発生していないにも関わらず。「きちんと約束通り返済してくださいよ〜。今度遅れたら辞任しますよ。私が辞任したら以前のように矢のような督促が来ますよ」と、脅し透かしなだめすかした経験が何度かあります。

昨今、銀行の個人融資残高が急増しています。貸出審査にAIを使うというニュースも出ていました。しかし、貸出審査で確認できるのは、本人の勤務状況や収入や資産といった客観的事実だけです。私が経験した「主観的事情」を事前に把握することは出来ません。

「返済できるのにしない人」というのは、性格的に問題があるのかもしれません。もし、「性格テスト」でそれが把握できるのであれば、是非とも導入をお勧めします。月収50万円の人でも返済をしないズボラな人もいれば、月収15万円でもコツコツ返済する地道な人もいるのですから。

反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力 (ちくま文庫)
荘司雅彦
筑摩書房
2013-09-10

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年6月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。

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