冤罪の温床とされる駅長室はどんな場所。何があるの?

2017年06月13日 06:00

photo-acより

最近、痴漢冤罪に関するコラムをよく見かける。私も数回にわたって投稿した。質問などもいただいたが、本稿をもってまとめとしたい。「悪魔の契約」については前回の「痴漢冤罪で考える。だが男性専用車両は現実的ではない」を参照いただきたい。他にも、わかりやすい事例がいくつも紹介されているのでそちらも参照されたい。

女性専用車両を最初に導入したのは京王電鉄(2001年)である。背景として1999年の男女雇用機会均等法改正が挙げられる。均等法の導入により、女性の社会進出に関心が集まっていた。そのため女性の利用促進を意識したサービスの一環で導入されたものである。その後、京阪電鉄、阪急電鉄へと拡大されていく。よって痴漢撃退が目的ではない。

駅長室とはどのような場所か

この機会に駅長室に関連する情報も提供しておきたい。約10年前、JR山手線で新宿から池袋に向かう際の出来事になる。当日は雨が降っていた、時間は20時頃で車内は比較的空いていた。私はつり革につかまっていた。池袋駅に到着すると、女性に声を掛けられた。そのやり取りを記載する。

<このような会話>
女:カバンが当たったんです。痛いんです。
私:どこにですか?
女:顔に当たりました!

-口論になりそうだったのでホームに出る-

女:静かに話せないので駅長室行きましょう。
私:いいでしょう!

-駅長室にはいる-

この時点で、駅長室には駅員が1名。理由を説明し駅員がヒアリング開始。

駅:なにをされたんですか?
女:この人のカバンが顔に当たって痛いんです。
私:身に覚えがありません。
女:痛いんです!!
私:あなた、さっきから自分でつねってますよ?
女:さすっているんです!

その後、女性は、私のつり革の前の席に座っていたと言い出した。シチュエーションで考えれば、私がつり革と一緒に握っていたカバンが、顔に当たったということになる。私のカバンはゼロハリのジェラルミンケースだ。PCや資料が入っているので重さは10キロ以上にはなるだろう。しかも、ストラップ(肩掛け)が付いていないデザインだ。

主張を整理しよう。私は10キロ以上もあるゼロハリのジェラルミンケースを、つり革付近まで持ち上げて電車に乗っていたことになる。そのような不自然な持ち方などしない。しかもその日は雨だ。ゼロハリのようなアタッシュケースは雨に濡れた状態で持ち上げると水滴が落ちてしまう。手で持つか床に置くのが一般的である。

逆に、ビジネスマンが一般的に使用している、ストラップが付いたナイロン製カバンを肩に掛けていれば、なんらかの拍子で当たった可能性はあっただろう。私はそれらの証拠を、理論整然そして悠然と説明した。その説明は、女性と駅員の双方に対してのものであったが、突然、すごい剣幕で怒り出し駅長室を出て行ってしまった。

駅員の対応などを含めて以下に整理したい。当時の私は、駅長室がいま言われているような「冤罪の温床」とはしらない。しかしマニュアルは存在したのだと思う。最初は1名だったが、ヒアリングをしている際に4名の駅員が駆け込むように駅長室に入っていた。考えれば逃走防止の意味もあるだろう。

次ぎに駅員のヒアリングだが、本来は中立であるべきではないか。しかし、最初から女性に「なにをされたんですか?」という聞き方をした。これには強い違和感を覚えた。トラブルが生じたら理由に関わらず「女性の意見を優先して聞くように」と書いてあるのだろうか。鉄道会社は、このようなマニュアルが存在するのであれば公開すべきではないか。

当初は、私自身が被害者という気持ちだった。どうしても納得できなかったので名刺を渡し、状況を精査した上で報告がほしい旨を駅長に託した。それから10年が経つが連絡があった形跡はない。非常によい機会なので、本事案の一件を踏まえて、JR東日本に取材の申込みをしようと思う。

なお、本人不在であることから、すぐに駅長室を出た。その日は、友人と食事をする予定があり急いで向かう。参加者の1名に弁護士がいるので説明をした。私の話を聞いてただ事ではないと思ったのか、きつく忠告をされた。

早起きをしてラッシュ回避を

そこで、一般的には「駅長室に行ったらそのまま警察に連行される」と聞かされた。弁護士いわく運が良かったと言われた。次ぎに、このような場面に遭遇したら、「駅長室には絶対行ってはいけない」。無理やり連行されそうになったら、「特別公務員職権濫用罪で訴える」など、いくつかのポイントをまとめてメモにしてもらった。

警察官は捜査の一環として、被疑者を逮捕する権限を有している。この権限を濫用して逮捕などをした場合に本罪が成立すると考えられる。しかし、痴漢冤罪などの一件で、特別公務員職権濫用罪が成立した判例が見当たらない。そもそもの事案が少ないことに加えて、過去の判例でも虚偽の事実によって犯罪の筋書きを捏造した事件以外には見当たらないのだ。

結局のところ、理由はどうであれ駅長室に連れて行かれれば通常は“The END”なのだろう。私はここ10年くらい満員電車には乗っていない。早朝はラッシュ時を避けて早く仕事に行くことになる。夜は朝ほどは混んでいないし、混んでいたらタクシーを利用するようにしている。あえて満員電車に乗る必要もないと考えている。

前回の投稿でも申し上げたが、現状で男性専用車両が導入される可能性は低い。世界的に見て痴漢冤罪防止用の車両を導入している国は見当たらない。もし、男性専用車両が導入されれば、「日本は痴漢冤罪防止用の男性専用車両を導入した」と、心ないメディアが騒ぐことだろう。また、痴漢が多い国であるという印象をも助長しかねない。

なお、このような問題は条例を制定することで解決すべき事案であると考えている。議員は満員電車に乗ることはないだろうが、サラリーマンはそうはいかない。まずは、実態調査をしていただきたいと切に願う。

尾藤克之
コラムニスト

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