アマゾンがセブン-イレブンと日本で組んだらどうなる?

内藤 忍

週末の大きなニュースといえば、アメリカのアマゾン・ドット・コムが、高級食品スーパーのホールフーズ・マーケットの買収を決めたことです。買収額は137億ドル(約1.5兆円)で、成功すれば、アメリカ、カナダ、イギリスにある460店舗を手に入れられるメリットがあります。

実は、日本でも4月21日からアマゾンフレッシュという生鮮食品の配達サービスが始まっています。ただし、配送対象エリアは東京都の港区、千代田区、中央区、江東区、墨田区、江戸川区の6区域に限られており、テストマーケティングの段階です。

アメリカであれほど人気のホールフーズ・マーケットがなぜ日本に無いのか疑問に思っていましたが、その理由の1つに日本の流通機構の複雑さがあると思います。ウォルマートも西友を傘下に日本のマーケットでのシェア拡大を目指してきましたが、満足できる結果になっているとは言えません。生鮮食品は日用雑貨に比べさらに取り扱いが複雑で難しいと思われます。

ホールフーズ・マーケットを手に入れたアマゾンは今後、欧米だけではなく日本をはじめとするアジアの成長マーケットでも、アマゾンフレッシュを本格展開することが期待されます。また、アメリカで展開されているアマゾンのリアル店舗が日本に登場する日も近いと想像します。

しかし、日本にはホールフーズ・マーケットはありませんから、拡大していくためには既に生鮮食品の流通網を持っている日本企業を買収するのが一番の近道になるのではないでしょうか。日本マーケットをどの程度重視しているかによりますが、日本でもM&Aを使って一気に市場拡大を狙う戦略に打って出る可能性はあると思います。

国内流通大手のセブンアンドアイの時価総額は4兆円余りで、ホールフーズ・マーケットの3倍弱です。例えば、買収することは無くても、アマゾンが苦戦しているイトーヨーカドーを引き受けて、セブン‐イレブンとも提携すれば、日本の小売り業界にイノベーションが起こるはずです。これは、セブン贔屓の私の期待を込めた個人的妄想です。

いずれにしても、アマゾンの今後の展開からは目が離せません。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年6月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。