日本にこだわってこそのグローバル

2017年06月20日 11:30

英語が世界共通言語になるとしても、多様な他言語から新しい表現や単語が取り込まれて、正統な英語とはかけ離れた何ものかになるはずだ。どのようにおかしな英語でも、通じることが大事なのである。日本人特有の英語を世界に広めることは、正統な英語を学ぶことよりも価値が高い。ジャポングリッシュで何が悪い。

日本固有の価値は英語に翻訳され得ない場合もある。故に、日本文化のグローバル展開とともに、英語のなかに日本語が外来語として自然に入り込む。英語のワギューは和牛だが、それは日本にしかない特別な牛肉なので、そのまま英語の単語になってしまったのである。

和牛は、日本の高度な品質にこだわったが故に、その故にこそ、グローバルな高級食材になったのである。しかし、他方で、牛肉が西洋の代表的な食材であったからこそ、グローバルになり得たわけで、単なる日本の固有性だけでは、グローバルな食材たり得なかったはずである。

クールジャパンというのも、日本的なものの魅了を訴えるだけでは、グローバルではない。グローバルな視点でクールジャパンを考えるならば、既にある日本的なものを日本の外へ紹介することではなくて、日本的なものを非日本的なものと組み合わせて新しいものを作り出すことが課題となるはずだ。

日本のマンガ文化を日本の立場から日本の外へ紹介しても、マンガ文化のグローバル文化への創造的展開は起き得ない。日本のマンガ文化と日本の外のありとあらゆる現代芸術の領域とが相互に響きあい、創造的に働きかけあい、何か新しいものが生まれてこそ、日本のマンガ文化がグローバルな貢献をなし得るのである。

グローバル環境における日本の位置関係は、日本における日本の地域の位置関係と同じである。これまでは、地方にないものを中央から誘致することが地方の発展だったのだ、日本の発展が日本にない西洋文化の成果を積極的に取り込むことで実現されたように。

その結果、地方はなくなり、地方の中央への隷属化を招き、地方固有の成長源泉は枯渇してしまった、日本の現実として、未だ西洋文化に革命的衝撃を与えるほどの文化的創造もできないなかで、日本と同様の成長戦略をとってきたエマージング諸国の猛追撃を受けて窮地に陥ったように。

今、地方創生の方策として注目されるのは、地方にしかないものを活かす方向への転換である。その地方創生に日本の未来への成長の国内源泉があり、海外源泉は日本にしかないものを真にグローバル化していくことにあるのである。

 

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
HC公式ウェブサイト:fromHC
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