スキャンダルは一度疑われたらアウト、そして民進党も既にアウト

城 繁幸

雑感。
先日、遅めのランチを食べてる時にお店のテレビでワイドショーが流れてたのだが、ぼーっと見ていてふと気づいた。

銀座で歩いてるオバちゃんたちに加計学園問題について政府の説明に納得できるか質問しているのだが、ほとんどの人が「納得していない」「もっと正面から向き合ってほしい」とカメラに向かって訴えるわけですよ。

いや、個人的にはもう充分説明はされてると思うんですけど。

【おすすめ参考リンク】
加計問題の成果とは?
加計学園問題の本質は官の天下り体質にあり

ネット見てないと言われればそれまでだが、紙面でも朝日や東京新聞以外はそんなに焚きつけてはいない気がするんですが。

で、気付いたのは、たぶんああいうオバちゃんオジチャンというのは、ヘッドラインレベル、それもワンフレーズで「〇〇!」って言われないと理解できない、理解しようとしないんだなと。

つまり加計学園でいえば「最初に獣医学部新設にGOサイン出したのは鳩山政権」とか「官僚が6人も学長や教授ポストに天下ってる国際医療福祉大はスムーズに認可されてるしついでになぜか朝日新聞幹部も天下ってるし」なんて冗長な説明はダメで、まあありえるとすれば前川前次官がチョンマゲ姿でカメラの前に出てきて「嘘ついてました許してチョンマゲ」くらい言わないとワンフレーズ有権者は理解できないということだ。

となると、民進党をはじめとする野党四党は実に合理的な攻め方をしていることになる。政策論なんかやったってマジョリティは理解できないんだから。与党側から見れば、一度疑われたらアウト。「何もないことを自分で、それもワンフレーズで証明する」しかなくてそれは事実上不可能なので、永遠にボディブローのようにダメージは残ると思われる。

と書くと攻め手の圧倒的有利な状況をイメージする人も多いだろうが、実際はむしろ民進党の方がお先真っ暗だろう。有権者は、民主党政権時代を“暗黒の時代”だと記憶している。いや、それは震災が起きて原発事故も発生したせいだし、為替も他国がジャブジャブ緩和してたから円高になっただけだ、だいたい年金資産まで株に突っ込んでる今の方がおかしいだろ、とたぶん民進党の人たちは考えてるだろうけど、もちろんそんな冗長なロジックはワンフレーズ有権者には通用しない。

彼らはシンプルに「安倍政権で株価は上がったけど、民進党が政権を取るとまた何万人もの人が職を失い、家を失うことになる」と連想するだろう。だから、そういう生々しい記憶を持った世代が減るまであと30年くらいは政権交代って起きないんじゃないか。

むろんそれは我々国民にとっていい話でも何でもなくて、まともな政策議論は一向に深まらず、改革は停滞するか、進んでも正直レベルは高くないものにとどまるということだ。


編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2017年6月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。