看護師による死亡診断書発行こそ国家戦略特区を使うべき

2017年07月01日 23:30


人が死ぬと、医師は遺体を診察(検案)して死亡を確認し、死亡診断書(死体検案書)を発行する。死亡届は同じ用紙の左側にあり、家族はそこに必要事項を記入し、管轄の役場に提出する。役場は火葬埋葬許可証を発行し、これではじめて火葬と埋葬が可能になる(医師法第19〜21条)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/dl/manual_h28.pdf
以上が医学部で必ず教えられる法医学のコアである。
厚生労働省は、死亡診断書(死体検案書)作成業務を部分的に看護師にやらせるという。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170630-00000012-asahi-soci
この措置の問題点はすぐに思いつく。
死亡統計の信頼性が低下することだ。
看護師の法医学知識は、医師よりもずっと水準が低い。ICD-10分類や遺体の死後変化を述べられる看護師がどれだけいるだろうか。
特定看護師(仮称)のように、特別教育を行う予定もないらしい。ふつうの看護師に死亡診断書を書かせるのである。
死亡診断は今よりもさらにいい加減となり、死因は適当につけられ、死亡統計はまったく信頼できなくなるだろう。
死亡統計は医療政策に大きな影響を与える。日本人の死因がわからないのに、総額40兆円の医療費を適切に配分することはできない。
しかし、杓子定規に医師法第20条を適用した場合、離島や山間部では困難な状況に陥る。
死亡から死亡診断書発行まで時間がかかった場合、その間は火葬も埋葬もできず、遺体が腐敗するからである。
そういう場合は、看護師による死亡診断書の代筆もやむをえないかもしれない。
現在でも、気の利いた看護師は死亡診断書を医師の名義で代筆しているらしいが、医師法違反であり、バレたら刑事訴追される。
https://www.kango-roo.com/sn/a/view/3452
もっとも、交通機関の発達した現代で、死亡してから医師が死体診察を行うまで、何日も時間がかかる地域は多くない。
よって、この規制緩和は僻地限定で行うべきである。人口の少ない地域に限って規制緩和するなら、死亡統計に影響は出ない。
まさに、いま流行(笑)の国家戦略特別区域で行うべきである。
井上晃宏(医師)

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑