公用車送迎は論外だが、国会内保育所は“ヤミ給与”だ

2017年07月01日 11:00

公用車での保育所送迎が問題になった金子恵美・総務政務官(総務省サイトより:編集部)

金子恵美衆議院議員が、公用車で子供を保育所に送迎したことがニュースになっている。非常識の極みだ。
しかし、それより問題なのは、これが民主党の菅政権時代に開業した衆議院議員会館の中の認証保育所だということ。厚生労働省内にもあるようだが、私はこれは“ヤミ給与”だと思う。

そもそも私は一般論としても保育所偏重の一本足打法的な子育て支援には反対だ。「基本的には、子供手当を一律に思い切り増額したうえ」で、保育園に預けたければその保育所にかかるコスト通りの保育料を払うという方式が望ましい。

保育所に預けるなら国が財政支出して、家族や近隣の人に預けるなら自分のコストでというのは理屈がない。また、保育料を無理に安くするから保育士さんたちの人件費も安くなっているだけのことだ。

しかし、それは横に置いても、女性国家議員やキャリア官僚が、都心の超一等地にあってコマーシャルベースでは年に何百万円もかかるはずの保育園に安くで通わせることを正当化するために理屈をこね回してコスト無視のユートピアを模範例とかいって政策運営しているのはいかがなものか。
これは年数百万円の“ヤミ給与”なのだ。

そんなことしているから、豊田真由子さんみたいな自分が特別だと勘違いする非常識な議員が与野党問わず出てくるだ。職場と保育所が同じ場所であることは、おおいにけっこう。ただし、コストは払って欲しいものだ。都心で働く人の給与は高いわけだから、それに見合うコストを払うのは当然だ。

国会議員の給与は年2000万円を超える。そのそれなりの部分を子育てに使ってもいいはずだ。ひとりの女性国会議員が何人分ものママさんが楽になるのに使える国費を一人で使ってしまって、それをもって子育て支援策の模範といわれても困る。

私は海外勤務時にパリの都心で働く女性たちを見てきたが、そんな甘っちょろい特権を行使なんかできず苦労していたし、アメリカでは忙しいキャリアウーマンはベビーシッターなどに送迎を頼んでいる。

さらにいうなら、金子議員が住んでいるのは赤坂の議員宿舎ということだから(これです)、地下鉄溜池山王駅の近くだ。議員会館の保育所から歩いて15分くらいの超一等地に安くて住んでいる。

また、Facebookで本件を指摘したら、選挙区の保育所に子供を預けて議員特権のJRパスを使って東京に通勤している国会議員もおられるという指摘もあった。グリーン車だから一日数万円のコストだ。

保育所に立ち寄っても余計に財政支出は出てないという人もいるが、保育園の時間に合わせて早く出発し、保育所の前で預ける時間を待たせておくわけですから、ハイヤー代で送りだけでも30分くらい分は余計にかかります(公用車はいまやだいたいハイヤー借り上げです)。

それから、これが認められるなら男の政治家がイクメンだといって同じことしてもダメとはいえない。さらに、親の病院通いとかもダメな理由がなくなる。

制度論をするなら、保育所だけでなく病院などについても含め、特定の目的の場合に限り、家族等を便乗させる場合にその分を個人負担でとったうえで認めるというのはありかもしれない。寄り道で余計に要する時間10分あたりいくらとかいうやり方だ。しかし、そういう基準もなく、仕事で必要な時間より早く出発して、ハイヤー代を余計に国に払わせて子供の送り迎えなんて論外だ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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