豊田議員に集団リンチをおこなうメディアの粘着気質

尾藤 克之

写真は豊田代議士。HPより。

都民ファーストが圧勝したことで戦犯探しが開始されたようだ。そして敗因が、豊田議員と下村元都連会長だという。しかし、戦犯探しという表現はいささか不可解である。

政治家は言い訳をしない

2012年12月の衆議院議員選挙で与党だった民主党(現民進党。ここでは民主党を使用)が大敗した。8人の現役閣僚が落選する歴史的な大敗である。前々回衆議院議員選挙で民主党が大勝して、社民党、国民新党と連立する形で政権が発足した。

脱官僚・政治主導を掲げ、事業仕分けを行い、高等学校の授業料無償化、農業者戸別所得補償制度など、生活に関わる部分の政策も実施された。しかし、政策の実現や成果が現れなかったため、支持率が急落し、選挙での大敗を引き起こすことになった。

この時にも、野田総理(当時)や党の責任を批判する発言が目立った。その多くは責任を転嫁する発言であった。岡田副総理(当時)が「選挙は、最終的には自分の責任。執行部や他人の責任にするところから改めないと、この党は再生できない」と発言した。

実際に同じ民主党のなかでも実力者と言われている人たちは当選している。責任転嫁に終始する人は、そもそも当選したのも「執行部のおかげ」であることや、「自分の力ではない」ことを、わざわざ丁寧に露呈しているようなものだ。

今回も、国会議員の脇の甘さやを敗戦の弁で述べたり、他責をおこなう人がいた。敗戦の弁とは支持者や有権者に対してのお詫びの言葉である。言いたいことがあっても腹にこらえて「本件のすべては私の不徳の致すところである」と頭を下げなくてはいけない。

個人攻撃と粘着気質

今回の、豊田議員の音声データは非常にインパクトがあった。特集を組めば数字は稼げるし、都議選敗退の要因分析の材料としても使いやすい。数字が稼げるのだから仕方ないとする意見もわからなくもない。しかし、ここまでくるとやりすぎではないのか。

決して、今回、明らかになった事実を否定するわけではない。「ミュージカル調」「赤ちゃん言葉」。それは事実かも知れないが、ここまでさらし者にすべきなのか。メディアの集団リンチに近い。このようなやり方は、以前から申し上げているとおり違和感がある。

元秘書は埼玉県警に被害届を出し、6日付けで受理されたとの報道があった。今後、傷害罪を含めた捜査が開始されるとのことだ。いずれにしても、大きな問題に発展したことは事実なので、本人からの説明を待ったほうがいいだろう。

下村元都連会長の情報に関しては、週刊新潮(7月13日号)のなかで、<特集>「小池チルドレン」のポンコツ議員たち 大麻擁護、華僑秘伝コンサル…として紹介されている。そちらをお読みになったほうが早いかもしれない。

昼のワイドショーは番組によってコメンテーターの質が偏向している。実情をわからない人が、推測論のもとに語っているから説得力に欠ける。それらの番組では、コメントのほとんどが『的を得て』いない。きっちり情報を収集して精査したほうがいいだろう。

尾藤克之
コラムニスト

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