小池知事は「W市場プラン」の説明を尽くせ!

柳ヶ瀬 裕文

都議選後、早くも観光施設撤退表面化で暗雲漂う豊洲市場(Pakutasoより:編集部)

こんにちは。東京都議会議員(大田区選出)のやながせ裕文です。

選挙後、残務処理のため久しぶりに都庁に。

選挙期間中、ずっと気になっていた「豊洲市場移転」の進展について、各所から情報収集したが、やはり曖昧な点ばかり。小池知事が選挙直前に言い放った豊洲と築地の「W市場プラン」。発表から3週間経つが、具体的な内容はさっぱりわからない。

深刻なのは、このプランを進めていく行政当局が、プランの全容を理解していないという点だ。豊洲に移転することは分かったが、築地市場を売却することなく、どのように借金を返していくのか。財源の問題は極めて重要だ。

市場関係者が不安に感じているのは、「築地にどのような市場機能をもたせようとしているのか」ということだろう。豊洲と築地で機能を分離することほど、効率の悪いことはない。豊洲から築地への再移転など、コスト面から考えても現実的ではない。

私が知りたいのは、どのような検討プロセスを経て、小池知事が決断に至ったのかということだ。そのプロセスでは、当然、財源の問題や、機能分離について詳細に検証されたことだろう。まさか、これだけの決断を根拠なく行うことなど、あるはずもないだろうから、その根拠をつまびらかにして貰えればいいのだ。

万が一にも、小池知事があまり検証もせずに、W市場プランを選挙対策としてぶちあげたなら、早々に撤回すべきだ。発言の辻褄を合わせようとすれば税金の浪費は免れない。それは巨額の費用となるだろう。

メディアによる小池知事への質疑も見たが、まったくツッコミが足りていない。遠慮しているのだろう。

と、記事を書いているあいだに、こんなニュースが飛び込んできた。

豊洲の観光施設、撤退検討も=築地再開発案に懸念―東京(時事通信)

東京都の築地市場(中央区)から豊洲市場(江東区)への移転問題で、豊洲に整備予定の観光・商業拠点「千客万来施設」の運営会社が、小池百合子知事が発表した築地の跡地を再開発する基本方針に懸念を示していることが11日、分かった。

都に基本方針について詳細な説明を求めている。築地が同様の観光拠点として再開発されれば、採算が取れなくなる恐れがあり、撤退を検討せざるを得ないとの意向も示しているという。

運営会社は万葉倶楽部(神奈川県小田原市)。2018年8月に飲食店や物販店、19年8月に温泉やホテルを開業する計画だったが、移転延期に伴い、今年1月に予定していた着工が先送りされている。同社は「基本方針だけでは何も分からない。具体的に説明してほしい」と話している

これも小池プランの説明不足から起こった事態だ。市場関係者、利害関係者の皆さんは不安な気持ちで一杯だろう。W市場プランの具体的な内容を一刻も早く明らかにする必要がある。

都議会は「豊洲市場移転問題特別委員会」を早急に開催するべきだ。

都議会19期の議員の任期は7月22日まである。19期のメンバーは、豊洲の議論をしてきたからベーシックな状況を理解している。かつ、W市場プランに懐疑的なメンバーがまだ存在する。知事与党一色の20期では、この実像を明らかにすることは困難だろう。

また、次の期で特別委員会が開かれる(設置される)確証はない。開催されるとしても早くて8月中旬。だから今期で質疑が必要だ。一日の遅れが、都民の大きな損失を引き起こすことになる。

特別委員会の山崎委員長に申し入れをしたが、すでに実施を呼びかけているようだ。

W市場とは何か。これを明らかにすることが、19期の最後の仕事だ。全力を尽くしたい。

東京都庁の深層 (小学館新書)
柳ヶ瀬 裕文
小学館
2017-05-15

編集部より:この記事は、東京都議会議員・柳ヶ瀬裕文氏のオフィシャルブログ 2017年7月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、やながせ裕文オフィシャルブログ「日々是決戦」をご覧ください。