憲法改正により日中戦争を未然に防ぐことが可能になる

2017年07月21日 06:00

写真はケント・ギルバート氏(KADOKAWA提供)


暑い夏がやってきた。来月、日本は72回目の終戦記念日を迎える。政府は、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とし、全国戦没者追悼式を主催している。この時期は、多くのメディアで「戦争」や「改憲議論」に関する番組が放送される。政治団体・NPO等による平和集会が開かれるので、自ずと考える機会が増えてくる。

改憲議論が高まっているいま、過去の歴史に真摯に向き合うことは大変意義がある。今回は、米国人弁護士である、ケント・ギルバート氏(以下、ケント氏)の近著、『米国人弁護士だから見抜けた日本国憲法の正体』 (角川新書) を紹介したい。日本の歴史と政情に精通した米国人弁護士が、改憲論争の核心に迫っている。

各国の置かれた事情と国益を考える

――ケント氏は、最初にアメリカの国益に対する考え方を理解すべきとしている。

「まずは、トランプ政権のアメリカの国益に対する考え方を理解しなければいけません。アメリカの国益には、死活的国益(核心的利益)と戦略的国益、そして周辺的国益があります。中国がアメリカ本土に向けて弾道ミサイルを発射すれば、アメリカは死活的国益を守ろうと反撃することから米中戦争になる可能性が高くなります。」(ケント氏)

「内容によっては、大規模な全面戦争になる可能性もあります。日本とは直接関係がないかというと、在日米軍基地も確実に攻撃対象となるため、集団的自衛権を発動して、米軍を後方支援する必要が生じます。」(同)

――これは、「護憲派」がよくいう「アメリカの戦争に日本が巻き込まれた」状態といえるかもしれない。では戦略的国益とはどのようなものか。

「戦略的国益に影響が出る戦争とは、アジアの同盟国を守るための戦争です。かつてアメリカは、ジミー・カーター政権下の1979年1月1日に、中華人民共和国と国交を樹立し、対日戦の同志だった中華民国(国民党政権)とは断交しました。中国大陸の支配権は1949年から共産党に移っていたので、目の前の現実を受け入れたことになります。」(ケント氏)

「しかも、1954年12月2日に調印した米台軍事同盟である『米華相互防衛条約』も、1979年12月16日に失効し、在台米軍は完全撤退することになりました。」(同)

――アメリカは台湾を見捨てたことになるのか。

「『台湾関係法』を整備して、米軍の駐留は終了するものの、台湾軍への武器の売却や、沖縄など在日米軍の力で、自由主義陣営である台湾を、中国の手から守れるようにしたのです。また、『アメリカが同盟国を見捨てれば戦略的国益に影響が出るので好ましくないから、それはできない』とする考えがあります。」(ケント氏)

「日本が直接当事者になる自衛戦争では、敵地攻撃能力を含めた軍事力を強化するという意味で、将来的には憲法改正が必要となります。ただし、現時点では米軍と自衛隊の組み合わせが威力を発揮します。このことは、中国も理解しているので、現状では戦争が起きる可能性は相当低いように思います。」(同)

現状を正確に理解することが必要

――では、改めて確認したい。在日米軍基地が沖縄に集中した理由とは。

「アジアの同盟国を守るために、地政学上有利な位置に沖縄があるからです。台湾は沖縄と同等か、それ以上の地政学的価値があります。もしボルトン氏の提言(台湾に再び米軍基地を設置して、沖縄の戦力の一部を移すべき)が実現すれば、沖縄の基地負担を減らしつつ、南シナ海や尖閣諸島周辺での動きを効果的に牽制できます。」(ケント氏)

「中国は、負ける可能性が圧倒的に高い米中戦争へと発展する妨害を、仕掛けるとは思えません。『日本に勝てる条件は、絶対に米国が出てこないこと。〈中略〉尖閣周辺などで想定される小規模な戦争だ。中国は小さい戦争なら米国は出てこないとみている』(村井氏・東京国際大学教授)の意見なども参考になるでしょう。」(同)

――では、私たちはなにをしなければいけないのだろうか。

「正確に、日本の現状を理解することが必要ではないでしょうか。日本の領土の最北端は、択捉島のカモイワッカ岬のはずです。大半の人は、この問題認識を忘れています。竹島、尖閣諸島、日本最南端に位置する沖ノ鳥島の保全は盤石でしょうか。各々が問題意識をもち議論を深めることが必要です。」(ケント氏)

多角的な視点をもつことで多くのことが見えてくる。「自衛隊は必要だが憲法違反だ」「憲法9条を改正することには抵抗がある」。そのような人に本書をお奨めしたい。

参考書籍
米国人弁護士だから見抜けた日本国憲法の正体』 (角川新書)

尾藤克之
コラムニスト

<第6回>アゴラ著者入門セミナーのご報告
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次回の著者セミナーは8月を予定。出版道場は11月を予定しております。
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