「ブラック部活」はあなた自身の問題です 「部活があぶない」

2017年07月20日 06:00

ブラック部活問題は人口に膾炙した感があります。もちろん、本書「部活があぶない」でもバランスよく、部活で学校生活を救われたという子どもたちも描かれています。

しかし、部活は子どもたちも教員も大きな負担です。子どもたちはオーバーワークで故障し、指導する教員の負担はたいへんなものですが、一方喜々として指導する熱血教官やそれを支持する保護者も多く、問題は複雑です。

部活動は基本的には「自発的」に参加するものですが、それが生徒の態度を強制する便利な方法として、実質的に強制している学校は多いです。教員は、「勝利うんぬんより、社会で通用する人材の育成」と言いながら、負けると生徒を罰として走らせます。「自主的・自発的」と言いながら。

生徒側は、今もって「殺されるかと思うくらいボコボコに殴られたけど、いい先生だった」と笑顔で語るようになる。殺されていたら業務上過失致死だったはずが、生き延びたら美談になる。そのおかげで、生徒を二重拘束する大人側はその矛盾を何とも思わないまま過ごし、こうした指導が積み重ねられる。(P61)

しかし、それは指導者だけの問題でしょうか。ブラック部活が報道されるたびに、「なんとかならないのか」という怒りの声があがります。けれども、その一方で容認する意見もかなり根強いのです。

一方で、暴力容認論も同じだけ見うけられる。13年3月末。読売新聞が行った調査で、「体罰」を認めるか否かについて「認めてもよい」「場合によっては認めてもよい」の合計は59%。小中学校の親に限定すると6割を超えていた。(P156)

顧問による暴力や暴言、理不尽な指導、先輩に対し絶対服従の風習など、非論理的な部活文化の中で、子どもたちは中学、高校と育っていきます。こういった問題が、日本の雇用問題と相似形だと感じるのは、わたしだけでしょうか。

理不尽に耐える部活で培った両方の経験が、ブラック企業でも働ける感覚を作り出しているのではないか。何のためにあるのかよく分からないきまりでも、疑わないまま受け入れることを学んでしまう。(P161)

私企業でも、働き方改革として36協定の遵守などと言っていますが、ほんとうに問題なのはパワーハラスメントではないでしょうか。業績の評価の際におけるパワーハラスメント(「おまえ、なんで売れないんだよ!〇ね!」とか)など、パワハラにかんしてとにかく寛容な日本社会ですから、ブラック部活という鬼子が生まれる土壌があるのかもしれません。

日本企業は、高度成長期に個々人の根性とハラスメントでなんとかなった(ように見えた)という成功譚が忘れられないのでしょうか。その原因は、部活動にもあるのかもしれませんし、部活動はその結果なだけかもしれません。

中沢 良平(元小学校教諭)

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