すべての「まちづくり」は「イオンより魅力的か」自問を

長坂 尚登

豊橋市議の長坂です。
豊橋には、スタバが2つあります。

さて、こんなワークショップに参加してきました。
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豊橋駅前エリアを盛りあげるために、みなさんのアイデアをお貸しください。

主催は、官民混交団体である
「豊橋駅前大通地区まちなみデザイン会議」のエリアマネジメント部会
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グループに分かれて、
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各グループが発表して、というオーソドックスな形式。

参加している人たちの多様性はとても高く、
それを受けてか、こんな声を上げる参加者もいらっしゃいました。

せっかくこれだけ多くの優秀な人たちが集まっているのに、たった2時間程度、アイデアを出し合って「あー、いいねぇ」と言い合うだけで、もったいない。これで終わって意味あるの?

これは多くのワークショップが抱える本質的な課題を、
真正面から捉えていると思います。

ところで最近、こんなブログがちょっと話題になりました。

紙パック2L 3Lのお酒の出荷率はどれくらいか、ご存じでしょうか?
2010年の調べでは市場全体の36%が紙パック酒なのだそうです。
「大手が日本酒をダメにした」「戦前は純米酒だけだったのに三増酒のおかげで日本酒が堕落した」とお嘆きの諸兄が聞いたら憤然となさるかもしれません。
36%もの紙パックのお酒は、日本人を舌をだまして儲けのために造られているわけではありません。

市場が欲しているから造られるのです。

(中略)

日本酒通が「ダメなお酒」と特定するお酒がこれだけ流通しています。というか、欲しがられているのです。
つい最近の米国の世論調査ではトランプ大統領の支持率は36%だとか、「あのトランプが!」と未だに信じられないような選択をした米国民は、半年経っても36%の国民が「トランプを応援しよう」と言っているわけです。36%あれば再選も可能なのだとか、私にしてみれば悪夢としか言いようがありませんが、国民の選択なのです。
全く同じパーセンテージで「あんなまずい酒を飲むなんて信じられない」と日本酒通が思うおうが支持はされている事実を直視しなければなりません。
2017-07-18
板前日記

「豊橋にもイオンがほしい!」

とてもよく聞く声です。
ぼくのブログでも、イオンとドン・キホーテの記事が、
圧倒的に読まれています。

ぼくが高校生くらいのとき、
同年代の「豊橋にほしいもの」は、

  • スタバ
  • マツキヨ
  • HMV

でした。
今、よく聞くのは肌感覚で、

  • スタバ
  • イオン
  • ドンキ

これでしょう。
(スタバは今もう2つありますが)
たぶん全国どの地方も同様ではないでしょうか。

職務として「まちづくり」に関わる身として、
まずこの声・現実を直視することが、第一歩な気がします。

「じゃあ、豊橋もイオンを誘致すればいい」

安直に考えればそうなります。
本当にそれでいいのか。

とは言え一方、イオンの何が魅力で、
人が行くのかを考える価値はあります。

当然にイオン内の個々のお店(テナント)の魅力もありますが、

  • 無料で時間を気にせず停められる大きな駐車場
  • 快適に歩ける(汗かかない、凍えない、路面が平滑)
  • 安全に歩ける(車が通らず安全、特に子ども)
  • 身軽に歩ける(カートやロッカー、あるいは車に荷物を)
  • お店同士の距離が短く集積していて、一度にたくさんを見比べることができる
  • いつでも気軽に使えるきれいで清潔なトイレ
  • 快適な休憩スペース(授乳室含む)やベンチ・椅子

こういう環境を見過ごすことはできません。

多くの人がイオンに(豊橋なら浜松や岡崎へ)行く中、

「イオンよりもまちなかへ」

来てほしいのであれば、

「どうしたらイオンよりも魅力的になるのか」
「このアイデアはイオンに行くより魅力的か」

多くの人が共通認識のあるイオンを
ベンチマークとした自問は欠かせず、
議論をより建設的なものにするでしょう。

「じゃあイオンのような町にすればいいのか」

と言えば、必ずしもそうとは限りません。

もちろんイオンと同じ方向性の魅力を追及するやり方もあれば、
違う方向性もあると思います。

イオンになくて、まちなかにあるものとして、
例えば、「お酒」があると思います。

他にも豊橋でそれなりの集客力のある施設に動物園がありますが、
これもイオンとは違った方向性の魅力です。

しかし方向性は違えど「自動車が通らない(安全)」
「路面が平滑で、ベビーカーなど押しやすい」
「駐車場がある」など、共有点もあります。

ぼくは豊橋について言えば、6月に毎週末に催され、
大量の人が集まる「夜店」にも、違う方向性の魅力について
大きなヒントがあるのではないかと思っています。

「イオンに行くような人は◯◯だから」

と、言うのは勝手ですが、それは進歩を生まない。
現実には、全国の地方民が各地のイオンに集まっているわけで、
その現実に真正面から向き合い、その上で

「じゃあ、うちのまちはどうするのか」
「どうしたらイオンより、こっちを向いてくれるのか」

という姿勢は、重要だと思います。

言ってもイオンだって、超絶優秀な人たちが、
脳みそにたくさん汗をかいて、
きっと多くの失敗・試行錯誤を繰り返し、
小さな成功を積み重ねてきた集大成であって、

そのイオンから「まちづくり」が学べることは、
たくさんたくさんあるはずです。

そして、どうしたらイオンを超えられるのか。

では!


この記事は、愛知県豊橋市議会議員、長坂尚登氏のブログ 2017年7月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は愛知豊橋・長坂なおと のblogをご覧ください。