急務のダークネット(闇サイト)対策

2017年07月23日 11:30

オーストリアのヴォルフガング・ソボトカ内相は20日、「2016年麻薬犯罪報告書」(全64頁)を発表した。麻薬関連認知件数は前年比で10%増加した。同内相は特定の麻薬犯罪の拠点を監視強化し、寛容さを許さない厳格な取締りを継続していく意向を明らかにした。

▲過去10年間の麻薬関連法違反件数の動向(オーストリア内務省の「2016年麻薬犯罪報告書」から)

▲過去10年間の麻薬関連法違反件数の動向(オーストリア内務省の「2016年麻薬犯罪報告書」から)

同国では過去10年間で麻薬関連法違反件数は2万4166件から3万6235件と増加。昨年は前年比で3328件増加した。ヘロイン68.9キロ、コカイン86.5キロ、カナビス1083キロ、エクスタシー2万9485錠、アンフェタミン類87.7キロ、メタムフェタミン類4.8キロがそれぞれ押収された。ちなみに、押収された麻薬の闇市場価格は約2600万ユーロと推定されている。

同国では麻薬関連改正法が昨年6月1日から施行済みだ。公共の場での麻薬取引を刑罰に処するなどの麻薬関連法を強化してきたこともあって、告訴件数は増加した。警察官は公共場所の麻薬取引拠点(Hotspots)で即対応できるようになった。

ここで急務となってきたのは麻薬取引にインターネットを利用し、ダークネット(Darknet)を通じて不法麻薬の取引、売買する件数が増加してきたことだ。連邦犯罪局は2015年3月、違法薬物などを売買するダークネット(闇サイト)対策作業部(タスクフォース)を設置して対策に乗り出してきた。タスクフォース設立以来、オーストリアで697人が不法麻薬売買で告訴され、133キロの麻薬、7万8000錠のエクスタシーが押収されている。
ちなみに、インターネットの裏世界と呼ばれる深層Web(Deepweb)やダークネットの世界では仮想通貨ビットコインが決算手段に利用され、不法な麻薬取引などが行われている。

オーストリア人容疑者は2007年以来、78.2%から61.8%と減少し続けている。逆に、外国人容疑者数は21.8%から38.2%と急増した。国籍別にみると、昨年はナイジェリア人が1344人から1896人、アルジェリア人759人から1282人、アフガニスタン人689人から1103人、モロッコ人530人から850人とそれぞれ増加している。

オーストリアで最も多く消費され、取引され、製造される不法麻薬はカナビスだ。マリファナは国内で製造される一方、ハシシはほとんど輸入されている。コカインは南米から旅行鞄などに入れてオーストリアのウィーン国際空港に密輸されるケースが多い。最近の傾向としては次々と新規向精神薬が製造され、インターネットを通じて不法売買されていることだ。ヘロインはバルカン経由でアフガニスタンから欧州に密輸されている。

オーストリアは地理的な事情もあって不法麻薬がバルカンルートを通じて欧州に入る窓口となっている。中東・北アフリカからの難民・移民の増加も麻薬関連の犯罪が増加する原因となってきた。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年7月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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