育児も融資も…番組も⁈ クラウドファンディング2.0の時代へ

2017年08月01日 06:00

Rocío Lara / flickr

ここのところ、知り合いの起業家がクラウドファンディングを精力的に活用するのを目にしていると、数年前、ネット界隈の新し物好き(イノベーター層〜アーリーアダプター層)が中心だった段階から、市民権をだいぶ得つつあるように感じる。

「ママのノー残業」を目指す経沢さんのプロジェクト

アゴラへの寄稿者でいえば、経沢香保子さんのキッズラインが7月後半から、「ママのノー残業デー」と銘打ったプロジェクトを展開している。サイトでは、「24時間365日勤務」「無給」しかし、「世界で一番重要な仕事」は何か?と少し挑発的に問いかけながら、クラウドファンディングを通じて、キッズラインのベビーシッターサービスを週1回、1ヶ月使える権利をプレゼントするという企画だそうだ。

プロジェクトページより

経沢さんが以前、松田公太さんとの対談でも触れていたが、日本社会でベビーシッターサービスを普及させていくための最大の鍵は、他人に子どもを預けることの心理的障壁をいかに下げていくか。日本では都市部を中心に子育て中の女性が「孤立無縁」となり、最悪の場合は、乳幼児の虐待という悲劇も繰り返されてきた割には、この壁が手強い。

そうした壁の打破に向け、キッズラインは「育児ストレスからの解放」で訴求する切り口を強調したのだろう。リリースにあるデータを紐解くまでもなく(我が家でも実感してるので…苦笑)、育児ストレスの最大の理由は「自分の時間がないこと」。「ママのノー残業」というキャッチコピーも目を引くが、何よりもクラウドファンディングの活用を思い立ったのが興味深い。私見ながら、育児ストレス解消に向けた社会への提起という高尚なビジョンを訴えるだけでなく、経営的にも「合理的」だと思う。

通常だと「先行投資」「バラマキ」的に無料キャンペーンをやるのも一手だが、クラウドファンディングであれば、未上場ベンチャーとしてコストを抑制しつつサービスの認知度向上と利用者とのリレーションシップを深められる。映画やゲームの新作の資金調達にクラウドファンディングを使ってプロモーションとリレーションシップの両立を奏功させる事例はあるが、子育て支援ビジネスの領域で、同様な試みを始めたチャレンジの成否に注目したい。

評価経済時代における新しい与信の形を目指す家入さん

そして、もう一人はこの分野の第一人者の話だ。被災地支援から選挙資金まで、まさに日本でこの領域を開拓してきた家入一真さんだ。このほど貸金業登録をして、彼の経営するクラウドファンディング会社の新事業「CAMPFIREレンディング」をスタート。先週いち早く報じた日経の小さな記事では、CAMPFIREで資金調達に成功した企業を対象に100万円を上限に年15%の金利で貸し出すという、この字面を読んでいるだけだと小口金融の延長みたいにしか思えないあっさりした記述だ。

「CAMPFIREレンディング」サイトより

しかし、本当に面白いのは決算書をベースに審査するという従来型の金融サービスの形に加え、家入さん本人もFacebookで述べているように「評価経済時代における新しい与信の形」を目指している点だ。狙いについて、そのうちアゴラにも彼のブログを転載することになると思うが、FBから一部引用する。

「クラウドファンディングにおける支援者数や達成度などを、これからの与信に使うことは出来ないか、と前々より考えていました。支援が集まってるということは評価をされているということ。クラウドファンディングをやってるからこそ出来る。‪過去の業績や担保などによる、従来の与信のみでは、現在や未来の信用を正しく評価することが出来ないのではないか。一度でも過去に失敗した人や、本来お金を借りられたはずの人がこぼれ落ちてしまう、そのやり方をアップデートしていきたいと考えています。まだまだ仮説だらけだし手探りですが。」

「資金集めの民主化」をビジョンに掲げている家入さんらしい取り組みといえる。

日本の「クラウドファンディング2.0」時代突入

矢野経済研究所のデータ(2016年)によると、2015 年度時点で、国内クラウドファンディングの市場規模は新規プロジェクト支援額ベースで、前年度比 68%増の363億円。最近16年度のデータも発表されたらしいが、おそらく1年前に見込んだ477億円に匹敵、あるいは超える規模で成長しているだろう。

日本の「クラウドファンディング2.0」とも言える段階に入ってきた中で、これからは市場規模の拡大とともに、かつて東証マザーズに女性で最年少上場した経沢さんや、ジャスダック最年少上場経験者の家入さんといったプレイヤーが、どのような画期的なサービスを今後提案していくのか、興味は尽きない。

P.S 「アゴラテレビ」の資金調達にも

そういえば、かつて家入さんの都知事選出馬時に広報を担当したのを機に、数年前は何度かクラウドファンディングの案件にタッチしたものだが、ここ最近はご無沙汰だった。

しかし、ネット上でも期待の声をお寄せいただいているアゴラの冠が付いたテレビ番組の実現へ、この下半期は、本気を出して布石を打っていきたいと思う。企業によるスポンサードがもちろん軸になるだろうが、調達資金の何割かは「草の根の篤志家」から頂くことに意義があるとも思う。

家入さんのところにするか、佐藤大吾さんのシューティングスターにするか、そのうち、それぞれご相談できればと思っているが、「2.0」の潮流の中をプレイヤーとして久々に泳ぐ機会を得られるなら幸いだ。アゴラファンの皆さま、その節はよろしくお願いします!

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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