「がん保険のカラクリ」から5年

2017年08月01日 13:00

「入院中の差し入れで一番嬉しかったのは、味が薄い病院食に合う佃煮の類。逆にもらって困ったのが、お花。手入れは大変だし、大部屋だと花の匂いがNGの患者さんがいたりする」

「治療で具合が悪いのに子どもの世話もしなければならなくて、家がどんどん汚くなっていくのが辛かった。家事代行を頼もうと調べてみたけど、どこがいいのか分からなかった。ここがいいよ、と教えてもらえるだけでも助かる」

「入院して一番困ったことは、ダサいパジャマしかなかったこと。たくさん友人がお見舞いに来てくれるのに、自分がお洒落でないのが本当に嫌だった。重たい病気を患いながらなんてくだらない悩みなんだろうと自分で思いながらも、美容の仕事をしている私にはそれが途轍もなく辛かった。将来の夢は、がん患者向けにお洒落な入院服を作るアパレルブランドを立ち上げること」

表参道のベイカリー、汐留の喫茶店。恵比寿のホテル、有楽町のデパート内のレストラン。外苑前のタイ料理屋。がんを経験された同世代の方々と何度も膝を詰めて話を聞いた。当事者にしかわからない体験談。これらをつなげたら、いまの時代に合った、本当に役に立つがん保険ができると確信した。

就業不能保険のパイオニアとして

ライフネット生命は2010年2月に国内生保として初めて個人向け長期就業不能保険「働く人への保険」を発売した。病気やケガなどで長期にわたって仕事ができなくなったときに、お給料代わりに毎月給付金を受け取れる保険である。諸外国では当たり前のように加入されているこの商品だが、我が国ではこれまでこの領域の保障の必要性が浸透せずに、普及が進んでこなかった。

新しい市場の開拓に挑戦してから早7年。大手生命保険会社の参入もあり、ようやく「働けなくなるリスク」に関する認知や関心も高まった。お支払いの実績も重ねてきた。今後もこの分野のパイオニアとしての役割を担っていきたいと考えている。

なかにはALS(筋萎縮性側索硬化症)のような難病を発症され、就業不能保険の給付金を毎月受け取って生活されているお客さまもいらっしゃる。3大疾病や5大疾病など、病名を限定して給付条件とする保険では支払事由に該当しないが、「就業不能の原因となった疾病を問わない」当社の保険はお支払いできており、本当に困ったお客さまのお役に立つことができていると自負している。

病気やケガで長期にわたって働けなくなると、治療費などの支出が増えるだけでなく、収入が減少することで、いわば二重で負担が増す。特に住宅ローンを組んでいる方、一人暮らしの方などは、加入をお勧めしたい。

がん経験者の声から作られた保険

さて、この就業不能保険だが、支払事由の6割を占めるのが悪性新生物。いわゆるがんである。がんに罹患され、治療に専念するためお仕事を辞めざるを得ないお客さまもいる。この点において、就業不能保険は「病気やケガで働けない状態」を前提としているため、治療を続けながら就業され、時短勤務などで制限的に働いている方々は給付対象とならない。

そこで、今回は「働きながらがん治療することをサポートする」保険を開発することにした。がんに罹患しても仕事を辞めないで良いように企業や政府がサポートしていこうという「がんと就労」なる世の中の大きな流れに沿ったものである。

しかし、世の中にはがん保険があふれている。経営学の用語でいうと競争が厳しい「レッドオーシャン」。そういったなかで、後追いで特長のある商品を提供するにはどうすればいいか。真の意味で「ライフネットらしい」がん保険を提供するには、どうしたらいいのか。

答えは、冒頭で紹介したように、がんを実際に経験された方々の話を徹底的に聞くこと。そこから浮き上がってきた、ポイントがいくつかある。

まず、治療費だけではなく、働けなくなったことによる収入減少をサポートすること具体的には、「がん収入サポート給付金」を、がんと診断されてがん診断一時金が支払われた翌年から、毎年1回、生存されていた場合に、がん診断一時金の50%の金額を最大5回までお支払いする。例えば、がん診断一時金100万円のタイプを選んだ場合、翌年から50万円の給付金を最大5回まで、がん診断一時金を含めて総額350万円を受け取ることができる計算だ。

次に、安心して治療に専念できるよう、「治療サポート給付金」は治療が続く限り毎月10万円を回数無制限でお支払いする通常のがんであれば5年生存が一つの目安となっているが、例えば乳がんのホルモン治療などでは10年間継続することもあるそうだ。この場合は、通算して1200万円の給付を受け取ることができる。

給付事由も極力シンプルにした。当社の場合、①がんと診断された時点で支払われる「がん診断一時金」、②治療を受けた月ごとに支払われる「治療サポート給付金」、③がんと診断されてから2年目以降に生存していれば最大5回まで支払われる「がん収入サポート給付金」の3つである。

さらに、給付金のお支払いで終わらず、例えば体調が優れないときの家事代行のように、受け取ったお金を使って本当に必要な生活をサポートするサービスを受けることができるようにしたそこで他社と業務提携をして「サバイバーシップ支援サービス」を用意する。

私たちは家族や友人に自信をもってすすめられる商品しか作らない、売らない」。開業前に記した「生命保険マニフェスト」での私が大好きな一節である。今回の新しいがん保険「ダブルエール」では、このマニフェストを体現できたと自信を持っている。この想いを、一人でも多くの方に届けたい。


編集部より:このブログはライフネット生命保険社長、岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2017年8月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。

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岩瀬 大輔
ライフネット生命保険代表取締役社長

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