松本城飲酒禁止と文科行政の“岩盤規制スピリット”

八幡 和郎

長野県松本市の教育委員会が「松本城公園の品格に、飲酒はふさわしくない。自粛を要請する」といったことから、2014年から毎年9月に松本城公園で開催されていた「ビアフェス信州クラフトビールフェスティバルin松本」が中止に追い込まれた。

かつては、コンサートホールなどでも飲酒禁止だったが、サントリーホールのオープンがきっかけとなって、幕間などにフォワイエでシャンパンなど楽しめるようになった。

海外では宮殿やシャトーなど文化財でパーティーをしたり、レストランやホテルに利用するのも普通のことだ。

また、都市公園法の改正で飲食施設の開発などの規制も緩められた。私の故郷、滋賀県大津市の琵琶湖湖畔には「なぎさ公園」という立派な公園があるが、なんにも飲食施設がなく、犬の散歩のための施設かという印象だった。

大津と姉妹都市になっているドイツのビュルツブルク市からもってきたドイツ風の建物を交流施設という位置づけにしてレストランを開業しただけだったが、最近ではいろんなものができている。

ところが、松本市の教育委員会はまことに馬鹿げた判断をしたわけだ。

そもそも城跡を遺跡公園にして、建物もいろんな施設もない広大な空閑地にして何の意味があるのか。文化財でなく発掘調査の跡として残し、また、いつか別の人が発掘したいだけだ。

そのために、地方都市のまんなかに意味のない空き地が広がっているが、外国人などみな不思議がっている。

前川喜平氏をはじめとする文部科学官僚が、それぞれの専門分野のボスたちの身勝手な利益や論理の擁護者として生きる事を生きがいにして、ほかのさまざまな社会的、国家的利益との調整を邪悪なものとして拒否し、岩盤規制の守護神としてふるまっていることは、すでに論じてきたことだ。

山本幸三・地方創生相が4月16日、地方創生に関する セミナーの中で、「一番のがんは文化学芸員と言われる人たちだ。観光マインドが全く ない。一掃しなければ駄目だ」と発言し謝罪に追い込まれた。

たしかに極論だったが、問題意識は正しかった。学芸員とかいうと末端のまじめな専門職を苛めているように聞こえたが、問題は彼らを含む文化行政の各分野のマフィアのことであって、そういうようにいうべきだった。

世の中に、その分野の専門家に任せておけば良い問題などひとつもないのだ。

追伸:かすかな記憶でしかないが、何十年か前に、松本市の市会議員らしき人が、天守閣の月見櫓で酒宴を開いて問題になったことがある。そのときも、私は月見櫓で酒宴を開くのは本来の使用法で正しい使い方だし、市会議員になったら、年に一回そんな特権をもったとしても、たいして、コストがかかるわけでないし、いいのではないかと思ったものだ。市会議員が様々な特権を持つのならよくないが、「何もない」のがいいことなのだろうか。