新国立競技場が球技専用に

山田 肇

画像は日本スポーツ振興センターによる

東京オリンピック・パラリンピックの終了後、新国立競技場は球技専用に改修されると、毎日新聞が報じた。9月末には関係閣僚会議で正式に決定されるという。

スポーツ庁では「大会後の運営管理に関する検討ワーキングチーム」を組織し、文部科学副大臣を座長として新国立競技場について検討を進めてきた。そこで上の結論に達したようだが昨年9月の会合までしかサイトには情報が公開されていない。

旧時代から国立競技場には国際陸上競技連盟の規格を満たしていないという問題があった。1964年の大会では東京体育館にある一周200メートルのトラックがサブトラックとして用いられた。2020年には神宮外苑の軟式野球場にサブトラックが仮設されることになっている。いずれにしろ400メートルの常設サブトラックがないため、新国立競技場では陸上競技の国際大会は開催できない。

それでは、以前の記事で紹介した『スタジアム・アリーナ改革ガイドブック』が示す指針には、今回の結論は合致しているだろうか。指針には「コストセンターからプロフィットセンターへ」と「民間活力を活用した事業方式、資金調達方式の導入」へという方針が書かれている。前者は税金を投入して維持管理するコストセンターから、利益を上げるプロフィットセンターへの脱却を求めるものである。後者は民間の知恵の活用を求めるもので、事業方式としてPFI、コンセッション、公設民営などが例示されている。コンセッションとは所有権は公的機関に残したまま民間事業者が運営を行う仕組みである。毎日新聞の記事でも後利用にコンセッションを導入しようという方向性が示されている。

このように、ワーキングチームの検討結果はガイドブックの指針に合致し、税金の投入を最小限にするよい方針である。国民に広く理解を醸成するために、スポーツ庁には検討結果の早期公開を求めたい。