反原水爆の市民団体がミサイル避難訓練を妨害する異様 --- 山田 高明

テレビ朝日より

近頃こんな面妖な話は聞いたことがない(以下太字傍線筆者)。

ミサイル着弾想定の避難訓練に反対する人々 どんな人たち?「訓練を行うことは戦争に人々を動員すること」 「北朝鮮を刺激する」産経新聞 8月6日

茨城県龍ケ崎市でミサイルの着弾を想定した訓練で、(略)「ミサイル訓練やめろ」などと抗議活動をする5人程度のグループがいた。長崎県雲仙市では7月20日に実施予定だった避難訓練が九州北部の豪雨災害対応のため延期された。だが、この訓練も13の市民団体が安倍晋三首相、中村法道・長崎県知事らに申し入れを行った。(略)原水爆禁止日本国民会議(原水禁)系の団体が多く、原水禁の川野浩一会長が「現実性のない訓練をする前に、ミサイルが発射されないよう、政府は外交努力をしてほしい」とNHKの取材に答えている。(後略)

茨城県側の団体のサイトは私も見た(リンクは貼りません)。

要は、朝鮮民主主義人民共和国を敵視するな、対話せよ、日本は歴史を反省しろ、天皇ガー、安倍政権ガー、という、どこかで見たような主張ばかりだ。

ただ、それでも公式声明はまだ社会的な体面を考えてどこか自制している面が感じられる。そこで比較的本音が出やすいツイッターのほうを覗いてみた(下)。

上はピックアップしたものだ。私はほとんど狂気に近いものを感じる。

上の「本音」を見れば、彼らが、社会のため、人民のため、子供たちのため、などと称して運動しているというのがジョークだと分かる。

ただ単に、世の中が憎い、日本という国が憎い、天皇が憎い、日本人が憎い、という、それだけの話なのだ。唯一、“朝鮮民主主義人民共和国”だけは愛せるらしいが。

もっとも、大半は今やジジババ左翼らしい。その彼らが過激化・老害化し、あちこちで乱暴狼藉・暴言三昧なので、若者たちは優秀な順から左翼離れを始めている。

彼らはまたそれが気に食わないらしく、これまで散々権威に反抗してきたくせに、今では「最近の若いもんゎー」などとぼやき始めている。

連中の最後の希望が「シールズ」とかいう団体らしい・・・あ、解散したか。

その時のとっさの避難行動が生死を分ける

ま、彼らが何を信じようと、若者から見捨てられて団体が「姥捨て山」化しようと、どうでもいいことだが、今度の行動が間違いであるとだけは言っておきたい。

仮に、彼らが信じるように、日本がすでに戦時下に突入しており、“極右安倍政権”の朝鮮敵視政策なるものが重大な間違いであったとしよう。

しかし、だからといって、日本に落ちてくるミサイルに対するテクニカルな応急策までが間違いということにはならないのである。

両者は次元が異なるのだ。原水禁の川野氏も両者を混同していて、避難訓練の問題点の指摘と外交努力とを結びつけて、同列に論じている。

私は避難訓練の様子を実際に見ていないが、政府が奨めるのは以下の方法だ。

先日、この避難法を指して上の団体とそっくりな主張をする者がいることは指摘した。たぶん、お仲間なのだろう。「週刊朝日」と室井佑月氏だ(以下傍線太字筆者)。

おなじく23日、全国の民放各局で、「弾道ミサイル落下時の行動」という政府のCMがはじまった。なぜ、今、このCMを流す必要があるのだろうか?

内容はミサイルが飛んで来たら「屋内に避難」「物陰に隠れる」というトンデモだ。

出典『週刊朝日 2017年7月14日号 室井佑月「信じたい」』より

関連記事「ミサイル避難を揶揄する室井佑月氏と朝日の過ち」*筆者サイト】

このような避難法は、本当に「非現実的」「トンデモ」なのだろうか。

原爆によって強烈な熱線や爆風が生じる。爆心地から一定の範囲内で、瞬時に人体を焼かれる者や、何十メートルも吹き飛ばされる者が続出する。

広島や長崎の事例のように、それは突然やって来る。

その爆発から一次的にどう身を守ればよいのだろうか。まさに、上の政府広告の赤枠内に記されている行動をとっさに取ることが急場をしのぐ策になる

上には、屋外にいる場合、建物がない場合、屋内にいる場合と、それぞれ状況にあわせた対応策がちゃんと記されている。これで正しいのである。

こういうのは、ちゃんと専門家が検討した上での対応策である。

なんでド素人の室井佑月氏が「トンデモ」と嘲笑するのか理解できない。それどころか、このとっさの行動がまさに生死を分けるのである。

とくに都市部はコンクリートの建物が多いから、「頑丈な建物や地下に避難する」ことによって助かる確率がぐんと高くなると思われる。

一つ幸いなことに、今では北朝鮮が弾道ミサイルを発射した瞬間、早期警戒衛星が熱源をキャッチできることが多い。Jアラートが本番でちゃんと機能してくれるか否かは未知数だが、それでもあの不気味な音声を聞いたら素早く上の行動に移るべきだ。

田舎よりも沖縄や横浜で大掛かりな訓練を

ところで、上の変な団体や室井氏は、なぜ今、避難方法のCMを流し、訓練を実施するのかと疑問に思っているようだが、それは本来、北朝鮮に訊くことではないのか。

北朝鮮は国家の総力を挙げて核ミサイルを開発中だ。戦争になったら日本を核攻撃するぞと明言している。在日米軍基地以外の地域も標的にすると脅している。

しかも、独裁者の金正恩は明らかに常軌を逸している部分がある。

避難訓練をやったら相手を刺激して緊張を高める? どうかしている。刃物をチラつかせる強盗に対して、何の防御策も取るなということか?

しかも、普通の人ならともかく、よりによって原水禁系の団体が、市民が弾道ミサイルから身を守る訓練をやるなと言う。倒錯にも程がありはしないか。

私も政府の訓練のあり方に疑問がないわけではない。ただし逆の方向性で。

まず「X国」ではなく、はっきり「北朝鮮」と名指しすべきだ。

「相手を刺激しない」「波風を立てない」「大人の対応をする」などの対応が逆効果でしかないことは、これまでの経験からはっきりしている。

あと、避難訓練をやるなら、真っ先に米軍基地のある地域で実施すべきではないだろうか。「政治的にマイナスだ」などの理由から躊躇している段階は過ぎた。とくに沖縄や横浜では昔の空襲警報と同じように大音量でアラートを流してやるべきだ。

【*以下筆者サイトの関連記事等】

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(フリーランスライター・山田高明 個人サイト「フリー座」