16歳高校生が州知事選に立候補し全米で話題に

米カンザス州知事選に16歳高校生が立候補し全米で話題になっている

米中西部カンザス州で2018年に行われる州知事選に、地元の高校生が出馬表明し、全米で注目されているそうだ。

立候補したのは、16歳のジャック・バーグソン(Jack Bergeson)氏。
8月9日の米ABCテレビの出演で、一夜にして全米の注目の的となった。
副知事候補にも同級生が立候補し、当選した場合、2人とも来年、高校の最終学年として、公務と学業を両立することになる。

カンザス州では選挙権年齢は18歳のため、知事選に立候補したバーグソン氏には投票権がなく、自分自身に一票を投じる事もできないが、一方でカンザス州には州知事の立候補資格要件に年齢規定がないため16歳であっても立候補ができたようだ。

報道によると立候補したバーグソン氏は、「若者が立候補しても、真剣に受け止めない人が多いのは分かっている」「でも、僕たち独自の良いとこどりの政策について聞けば、若者たちと協力し理解しなければならない州政府において、もはや古い政治のやり方は通用しないことがカンザスの人たちにも分かってもらえるだろう」と話しているようだ。

「最も成し遂げたいことの一つは、若者の政治参加を促すこと」という言葉は、18歳選挙権による参院選から1年が経ち一貫性のブームとして関心も低くなりがちな日本にとっても大きな問題提起と言える。

日本では2019年までの被選挙権年齢引き下げに向けて準備が進んでいる

先日も『【自民党が進める若者参画】秋には「18歳成人」、2019年までに被選挙権年齢も引き下げ』と題してコラムを書いたばかりだが、日本でも2019年の統一地方選挙までに被選挙権年齢を引き下げる方向で進められている。

これまでも紹介してきたが2016年の参院選では、自民党、公明党をはじめ、民進党、日本維新の会(当時はおおさか維新の会)、社民党、共産党に至るまでほぼ全ての政党が「被選挙権年齢引き下げ」を掲げた。

この背景に我々が仕掛けた若者による政策提言とロビイングがあった事はこれまでも紹介した通りだ。
参院選挙直後の臨時国会では日本維新の会が「被選挙権年齢18歳引き下げ法案」を提出。民進党も社民党、自由党と共同で、被選挙権年齢を現行から5歳ずつ引き下げるなどとした法案を提出している。
両法案とも廃案になっているが、その後の自民党選挙制度調査会では既に「被選挙権年齢を引き下げる」事を会として確認。期限も2019年に行われる統一地方選挙に間に合わせる事を目指して、現在具体的な中身についての検討が進められている。

いよいよ日本でも20代前半、場合によっては10代が立候補できる時代になってくる。

国家戦略特区では自治体ごとに被選挙権年齢引き下げさる事が地方創生策して検討された

現在、加計学園の問題で指摘が続く国家戦略特区だが、個人的には、岩盤規制と言われる既得権も含めて変える事の難しい問題について地域を限定して穴を開けていく事には大きな可能性があると思っている。
自分自身も、これまでも構造改革特区などの提案を続けてきたが、国家戦略特区についても2014年1月、高橋亮平とジャーナリストの田原総一朗氏、磯山友幸氏で、地方選挙における選挙権・被選挙権年齢を市町村が独自に設定できる「若者の政治参加を通じた地域活性化に係る特区」を提案している。

この提案については詳しくは『18歳から選挙権ほか、「万年野党」が提案した国家戦略特区』(https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashiryohei/20140421-00034681/)なども参照いただければと思う。

この国家戦略特区による「若者の政治参加を通じた地域活性化に係る特区」の提案は、国家戦略特区ワーキンググループによるヒアリングにおいても、とくに被選挙権年齢の引き下げについて高い評価を得、大臣査定でもギリギリのところまで実現へとつめられた。

最終的には実現には結びつかなかったわけだが、若者参画の仕組みについては、こうした地方から進めていく方法もまた同時に進めていく事には大きな可能性も感じている。

今回の事例として紹介したカンザス州知事選もそうだが、国内においても、国政依存だけではなく、「どうすれば地方主導でモデルが創れるか」についても検討してもらいたいと思う。

被選挙権年齢引き下げの今後の論点

「被選挙権年齢引き下げ」の問題については、2016年2月に『自民党が安倍総理への提言にまで載せている二の矢『被選挙権年齢』引き下げの実現性』でも書いたが、当時、国会議事録を検索すると、最も多く国会で「被選挙権年齢引き下げ」について発言していたのが2度の参考人招致で6度の発言をした国会議員ではない高橋亮平だった。

それほどこの問題については引っ張ってきた自負がある。
2014年の衆議院憲法審査会、2015年の政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会における参考人もそうだが、その後も実現に向け各党に様々な働きかけを行ってきた。

2016年11月には自民党本部で行われた「自民党政務調査会」の特命委員会に招かれ講演し、今年6月には「被選挙権年齢引き下げ」について、同様に自民党本部で開かれた「自民党選挙制度調査会」に招かれて講演を行った。

この際に資料として提示した「被選挙権年齢引き下げ」についての論点についても紹介しておこうと思う。

最重点項目事項として伝えたのは「成年者に被選挙権を保証しない理由はない」という事だった。
もちろん、これまで衆議院等は25歳から、参議院等については30歳からとされている理由については国会答弁などでもなされている事は認識した上で、こうした答弁も含めて非常に後付け的な「理由のための理由」になっている事を指摘すると共に、こうしたこれまでの前提ではなくあるべき論で考える必要性を指摘した。

欧米と比較して低いと言われた「若者の政治判断能力」についても大人に比べて極めて低いというわけではなく、若年世代の低投票率の問題も18歳に潰えは参院選では極めて高い結果を出した。
至らない部分はむしろ政治教育の充実によって埋めていく必要がある事であり、規制を緩和しない理由には当たらない。

被選挙権年齢の場合、選挙権年齢が90%程度の国で18歳以下に保障している状況と異なり、18歳に設定している国と共に、21歳、25歳に設定している国も多く、政策的な判断で行われている状況や、18歳に引き下げている国においても、スウェーデンは1976年に選挙権と被選挙権を同時に18歳に引き下げているのに対し、イギリスは1969年に選挙権を18歳に引き下げたのち2006年になってから被選挙権を18歳に引き下げている事、ドイツは1970年に選挙権を18歳・被選挙権を成年年齢に引き下げた上で1974年に成年年齢を18歳にしたことで被選挙権も18歳になったという様に、考え方も異なる事も紹介した。

いずれにしても秋の臨時国会では「18歳成人」法案が可決される予定だ。
こうした中で、トータルで被選挙権年齢についてもどうしていくのかを考えていく必要があると提案した。

「被選挙権年齢引き下げ」を必要とする背景には、日本における若年世代の政治家の少なさもある。
この問題については、5月にマクロん首相誕生に合わせて国内の若手国会議員の一覧や地方議会での実態を紹介したコラム『39歳最年少仏大統領誕生で考える。日本の若手議員一覧と都道府県ランキング』を書いているので、こちらも見てもらえればと思う。

さらに先述の地方における選挙権・被選挙権をどうしていくのかというポイントも含めて提示した。
今回のコラムは、米カンザス州知事選に16歳高校生が立候補し全米で話題になっているという事をキッカケに、改めて「被選挙権年齢引き下げ」についても問題を共有していただこうと書いたが、現実の問題として既に政権与党である自民党が2019年までと期限を切って検討を進めている状況がある。こうした中で、「近い将来の現実」として、未来志向で「あるべき姿」を多くの国民の皆さんで考えてもらいたいと思う。

参考資料: 自民党選挙制度調査会資料(高橋亮平2017.6.14)