バロンズ:米株相場は、アンラッキー・セブンを乗り越えられるのか

2017年08月14日 08:30

バロンズ誌、今週はカバーに動画配信サービス大手ネットフリックスを掲げる。フェイスブック、アップル、グーグル、アマゾン(FANGA)の一角を成したてきたネットフリックスに対し、ウォルト・ディズニーが映画配信の契約修了を決定。それだけでなく、ディズニーは独自の動画配信サービスを2019年に開始する見通しだ。フェイスブックもスポーツや料理などを対象に、動画配信に着手済み。アマゾンもオリジナル・コンテンツを作成し配信を行っており、ネットフリックスの主力サービスは競争が激化しつつある。こうした動向に加え、ネットフリックスのキャッシュに着目。2017年は20〜25億ドル減が見込まれ、2016年の17億ドル、2015年の9億ドルから著しく減少幅が拡大する見通しをにらみ、増資が必要となるリスクを指摘する。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが注目する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は米株安に再度脚光を当てる。詳細は、以下の通り。


戦争の何がいいんだ?(War——What is it good for?)とは、エドウィン・スターの名曲の歌詞にある。ベトナム反戦曲であるこの曲には申し訳ないが、米国と北朝鮮の間での軍事衝突をにらみ世界の株式市場は下落した。米株は比較的持ち堪えているとはいえ、ダウは1.1%安、S&P500は8月7日週に1.4%安、ナスダックは1.5%安となった。対して米国と北朝鮮が戦火を交えるとなれば直接的影響が懸念される韓国総合株価指数は3.2%安、欧州でも2.7%沈んだ。

一方で、米10年債利回りは2.19%と1ヵ月ぶりの水準へ低下した。金先物は8月7日週に2.3%上昇し、年初来から12%高とS&P500の9%高を上回るリターンを上げている。

トランプ米大統領と金正恩委員長の口撃もさることながら、株式市場は天井を打ったかのように見える。ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏をはじめオメガ・アドバイザーズのレオン・クーパーマン氏、オークツリーのハワード・マークス氏など著名な投資家がそろってリスクに警鐘を鳴らす状況だ。ルーソールド・グループのダグ・ラムジー最高投資責任者(CIO)は7月後半に「センチメントは行き過ぎている」とし、株式相場のポジション縮小を指摘していた。

その他、ラムジー氏によれば好調な企業業績にも反応しておらず、感応度の低さは2000年以来だという。小型株の軟調ぶりも、米株相場のパフォーマンスに悪影響を与えている。米大統領選後、税制改革や規制緩和、そして従業員50人以上の企業に医療保険を提供の義務を課す医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃を視野に小型株は上昇し”トランプ・バンプ”を演出してきたが、それは逆戻りしはじめた。ただラッセル2000は指数の取引が開始してから38年間、10%安を31回経験している。同指数は7月25日の高値から5.2%落ち込んでいるが、8月と9月は米株が下落しやすい時期であり通常の調整の範囲内とも言えよう。

ラッセル2000、こちらで指摘したように7月25日以降は下降線をたどり200日移動平均線も割り込む。
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(出所:Stockcharts)

米株相場にとって、”7”で終わる年は信用できないことも足元の下落につながっているのかもしれない。ルーソールド・グループのマンスリー・レポート”グリーン・ブック”によると、米株相場と”7”の末尾の年の関係は1887年に遡る。現代では1987年の10月19日に発生したブラック・フライデーでダウが22%も急落したほか、1997年にはアジア通貨危機の初期段階に突入、2007年8月9日には金融危機の前触れとしてBNPパリバ傘下のファンド凍結が伝わった。

7の数字を追いかけているとまるで占星術のパターンにはまっているようだが、7の年は大統領選あるいは中間選挙の前の年に相当する。

末尾が7の年を過去3回にわたって振り返ると、1987年には米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを行い米10年債利回りは10%へ上振れした。1997年は前述したようにアジア通貨危機にぶつかり、2007年はFedが2004年6月〜2006年6月まで利上げを行った後で流動性が低下したと考えられる。足元でFedは金融政策の正常化を進める一方、流動性を限定的にするような引き締め策に移るかは微妙な情勢だ。FF先物市場での12月の利上げ織り込み度は25.5%に過ぎない。アンラッキー・セブンの今年、米株相場が下落に直面するならば通常の調整の範囲内にとどまると信じたいものだ。


遂に、ラリーを続けた米株相場が息切れしつつあります。問題は、FRBの利上げより9月19〜20日に決定する見通しのバランスシート縮小です。イエレンFRB議長は6月のロンドン講演で米株高への牽制球を放った後、変心したかのように、7月の議会証言で米株高をスルーしました。念頭に入れていたのは金融市場の安定で、資産圧縮を是が非でも開始すべく敢えて米株割高発言を封じた可能性があります。その努力が無駄に終わるのか、あるいは米株が下落したとしても小幅にとどまるのか。9月は債務上限引き上げ交渉や予算協議や意識されるだけに、油断は禁物でしょう。

(カバー写真:Dirk Knight/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年8月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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