自治体サイトのスクロールする画像は不要

神奈川県のサイトを開くと、ページ上部に5枚の画像が順番に表示される。このスクロール表示はウェブアクセシビリティ規格に違反している。

ウェブアクセシビリティ規格はJIS X 8341-3で規定される。規格には基準「2.2.2 一時停止、停止及び非表示の達成基準」があり、スクロールする情報には「利用者がそれらを一時停止、停止、又は非表示にすることのできるメカニズム」が求められる。神奈川県の場合には一時停止などできないから違反である。スクロールの一時停止はレベルA、すなわち最低の適合基準に該当し、神奈川県サイトは最低基準さえ満たしていないことになる。

なぜ、スクロールは一時停止できなければならないのか。WAICの提供する解説書に理由が書かれている。「動かないテキストを素早く読むのが困難な利用者」「動きのあるオブジェクトを目で追うのが困難な利用者」にとっての障壁となり、「スクリーンリーダーの利用者」に問題を引き起こし、「注意力欠如障害のある利用者」が気を取られる恐れがあるという。

東京都のサイトにも同じようにスクロールする画像があるが、画像左下にあるSTOPというボタンを押せば停止するようになっている。

こんなスクロール表示は利用者にアピールするのだろうか。STOPボタンを付ければ役立つのだろうか。

スマートフォンでキャプチャした神奈川県サイト

神奈川県の場合、スマートフォンで閲覧してもトップにスクロール画像が現れる。最初に表示される黒岩知事との対話集会はともかく、4枚目の河川の急な増水に注意を呼び掛ける画像、最後5枚目の角野栄子『魔女の宅急便』展の案内を、表示まで誰が待ってくれるのだろか。せっかちなスマートフォン利用者が待ち続けるとは想像しにくい。

スクロールする画像は提供側の自己満足かもしれない。一時停止ボタンを付けて改善を図るのではなく、削除で対応すれば違反は解決する。