問題の核心を避けた文部科学省の有識者会議

2017年08月21日 06:30

文部科学省が設置した「国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議」の報告書(案)が公表された。日本経済新聞がその内容を簡潔に要約しているが、要するに少子化に伴い児童生徒の数が減少するので国立の教員養成大学・学部の定員は削減するというものだ。公立小中学校の新規教員需要は現在の2万3千人が、10年後には1万2千人までほぼ半減するという予測も示された。

教員需要が減るから供給側にあたる大学の定員を削減するというのは、一見正しい考え方である。しかし、重要なことを忘れている。それは、小学校での英語の必修化、プログラミング教育の導入、デジタル教科書の採用などによって、21世紀の社会が求める教育内容と教育方法が大きく変化しているということだ。

現職教員はこれらの新しい教育について教員免許更新時や日常での研修会、それもわずか数日の研修会で研修を受けるだけだ。いわば付け焼刃の技術習得である。一方、教員養成大学が新しい教育に合わせてカリキュラムを変更すれば、新規採用の教員は最新の教育法を身について職場に赴くことになる。

少子化の中で必要な教員定員は減少していく。現職教員を動かさない条件では、報告書の通り養成側の定員を削減しなければならない。しかしその結果、付け焼刃の教育技術を持った教員が長く職場に残り、新しい教育への転換は遅れてしまう。転換を加速するには現職教員を削減して新採教員数を維持する必要がある。これは、現職教員を首にすることにつながるので、有識者会議は言及を避けた。有識者会議は問題の核心を避けたのである。

記事『「英語が使えない英語教員」とは情けない』で書いたように、日常的な研修は現職教員のサボタージュで満足に機能していない。大学の定員削減を全面的に否定するわけではないが、「不適格現職教員の排除」を同時に進めないと、いつまでたっても子供たちは21世紀の教育を受けられない。

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