あなたは「既得権益」と「勿体ない」を説明できるか?

2017年08月18日 06:00

写真は佐藤氏。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)より

「部長は権限委譲すると言っておきながら、いまだに既得権益にしがみついているよ!」「勿体ないとか言ってるけど、あれは絶対使わないよ!」。こんな言葉を耳にしたことはないか。では、あなたは「人が既得権益を守ろうとする理由」と「勿体ないの本当の意味」について説明することができるだろうか。

今回は、佐藤伝(以下、佐藤氏)の『50代から強く生きる法』(三笠書房)を紹介したい。佐藤氏は、NHKテレビ「おはよう日本」、「日経ビジネスアソシエ」でも、行動習慣の専門家として紹介されている。また、習慣に関する著作は累計125万部を突破しているベストセラー作家としても知られている。

なんで人は「既得権益」を守ろうとするの

ある大企業の部長が、腎臓の持病を悪化させて入院した。ここのところ体調がすぐれないのは自覚していたが部下たちにも家族にもそのことを言わなかった。大きなプロジェクトが進行している最中だったからである。ある日、体調に強い違和感を感じたことから主治医を訪ねた。結果は即入院だった。

「このとき、部長は奥さんの前で涙を流して悔しがりました。自分がいなければ、そのプロジェクトは中止に追い込まれるからです。しかし、はからずも部長の予想に反して、プロジェクトは順調に進行しました。部下たちは、『部長のためにもがんばります』と言ってくれ、本当にやり遂げてくれたのです。」(佐藤氏)

「経過報告に病院を訪れる部下たちを見て、奥さんは喜びました。ところが、部長はどんどん不機嫌になっていきました。『自分がいなくてもプロジェクトが回る』という事態をどうしても受け入れることができなかったのです。そもそも、『その人がいなくては回らない』ことなど世界にひとつもありません。」(同)

現実的にはどうだろうか。あらゆる場面で勘違いが発生している。「あの会社の対応は俺しかできない」「私のつくったものでなければ子供は食べない」。「自分じゃなきゃダメ」と考える人は、まるで自分の権利を手放したくないようだ。

「いわゆる『既得権益』を守ろうとしているわけです。私たちには2本の手しかなく、あれもこれも持ち続けることはできません。古いものを手放さなければ、新しいものをつかむことができません。逆に言えば、『手放せば入ってくる』のです。いま手にしているものは若い世代にどんどん譲りましょう。」(佐藤氏)

「私にできることはほかの人にもできると考えて、渡していく。すると、新しい価値ある仕事がどんどんあなたの手元に入ってくる。その仕事もまた、時期が来たら若い世代に渡していくのです。『パス』をしないで抱え込んでいると、気づいたときには、使い道のないものを握りしめた老人になってしまいます。」(同)

なんで「勿体ない」と思ってはいけないの

最初に「勿体ない」の文字に注目してもらいたいと、佐藤氏は主張する。

「『もったいない』は『勿体ない』と書きます。勿体の意味するところは本来の姿。『勿体ない』は『本来の姿がない』という意味です。つまり、『もったいない』とは、たとえば、ヴァイオリンは、弓があって『勿体ある』。どちらかがないから『勿体ない』。言ってみれば『もったいない』は不完全な状態です。」(佐藤氏)

「ヴァイオリンは弓がなければ、音色を醸し出すことはできません。『もったいない、もったいない』と、連呼していたら、人生も不完全なものになりかねません。『いつか使うかも』は『永遠に使わない』。このことを肝に銘じて、余計なものは捨ててしまいましょう。捨てようとしたとき悩むのが思い出の品です。」(同)

例えば、他人からもらったお土産や写真や手紙などが該当する。その時には次のように考えることで頭の中が整理できる。

「もらったお土産、写真や手紙などを捨てることに罪悪感を抱く人もいます。しかし、考えてみてください。あなたが誰かにあげたお土産や、あなたが写っている写真や手紙が、誰かの負担になっていたらどう思いますか。『早く捨ててよ。取っておいてくれなんて頼んでないよ』と思いませんか。」(佐藤氏)

「だから捨てていいのです。写真や手紙を捨てるときのコツは、シュレッダーを準備しておくこと。プライバシー保護の観点はもちろん、シュレッダーにかけてしまえばもう元に戻りませんから、気持ちが整理されます。」(同)

本書で紹介している、佐藤氏の主張は、祖父でもある仏教学者の多田等観(ただ・とうかん)の教えや、脳外科医の父の話が基礎になっているようだ。また、ケースにリアリティがあることから年代に関係なくお勧めできる。上司のコネタとしても役立つだろう。行動習慣を理解することで、正しい道筋を見つけられるかもしれない。

参考書籍
50代から強く生きる法』(三笠書房)

なお、新刊『007(ダブルオーセブン)に学ぶ仕事術』は、「007ジェームズ・ボンド」が社内の理不尽に立ち向かう想定で書き起こしたマネジメント本になる。社内の理不尽に対してどのように立ち向かい対応するのか、映画シーンなどを引用しながら解説している。

尾藤克之
コラムニスト

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