米大統領の助言機関、解散に至った別の理由を探る

2017年08月18日 07:00

「”オルト・ライト”に突撃した”オルト・レフトはどうなんだ?君達がいうように、どちらにも責任があるんじゃないのか?(What about the ‘alt-left’ that came charging at, as you say, the ‘alt-right,’ do they have any semblance of guilt?)」

トランプ米大統領が16日、NYの自宅があるトランプ・タワーで行った記者会見で放った言葉です。この発言に玉っていられなかったブッシュ元大統領、父と息子がそろって声明をリリースしましたが、どこ吹く風。17日には撤去された南部連合支持者の銅像に抗議し「歴史は変えられない」、次に銅像が撤去される対象は「ワシントンかジェファーソンか、馬鹿らしい!」とツイート、引き続きポリティカル・コレクトネスを無視した言動を続けています。

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(出所:Twitter

筆者のフェイスブックは、ニューヨーカーが支配的なためトランプ批判が渦巻く状況。そのなかで、白人や黒人の血が混ざったある人物は「グラフィティ(ストリート風の落書き)が施されている南部連合支持者の銅像前で自撮りしていた若者がいたけれど、あれは器物破損にならなかったのかなぁ」とつぶやき、SNS上で袋叩きに遭ってましたね。

バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者と反対派の衝突で再び全米に亀裂が走るなか、米企業トップはトランプ米大統領の助言機関のひとつ、製造業評議会からの辞任を決定。もうひとつの機関である戦略・政策フォーラムが自主解散をホワイトハウスに打診し、トランプ米大統領が16日に両機関の解散を決定したのはご案内の通りです。

戦略・政策フォーラムの参加企業はこちら。
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製造業評議会の参加企業はこちら。
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もちろん、一連の企業トップは人道的な判断で助言機関から去っていったのでしょう。ただ、誤解を恐れずに付け加えるならば、もうひとつの要因も潜んでいるような気がします。そう、業績です。

そもそも、米国民から一身に非難を浴びるトランプ米大統領に肩入しては顧客離れがおきないとも限らず。振り返れば2月、配車サービス最大手ウーバーのカラニック最高経営責任者(CEO)はイスラム教国の入国制限に関する米大統領令を受けて、戦略・政策フォーラムから脱退しました。6月には、電気自動車メーカーであるテスラのマスクCEOはパリ協定離脱を表明したトランプ米大統領に反発し、製造業評議会を去ったものです。

もう一つ、考えられるのが中国。トランプ米大統領は14日、関税の引き上げを含め制裁発動を可能とする通商法301条の適用を視野に入れた調査手続きの開始を求め、大統領令に署名しました。しかし、よく考えたら助言機関に参加する大手企業はS&P500構成企業で、そうした企業は海外の依存度が高く、とりわけ中国の存在は見捨てておけません。14日に製造業評議会から離脱した半導体メーカーの場合、中国の収益比率は2016年24%。16日に離脱した複合大手の場合は15%と、S&P500構成企業の中国売上比率である約5%を大きく上回ります。

倫理的な行動で社会的責任を果たすべきである企業は、利益を達成していかねば生きていけません。助言機関のCEO達が業績を考慮して辞任に踏み切ったとしても、不思議ではない気がするのは筆者だけでしょうか。

(カバー写真:Konrad Karlsson/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年8月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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