「久しぶり帰国」の中国人と「訪中」日本人の感想を対比

2017年08月30日 11:30

今年は3回、中国に行った。中国の歴史の研究と経済社会の現場を少し見たいと思ったからで、上海・蘇州・無錫、北京、西安・洛陽だ。なかなかチャンスがなかったので、久しぶりのことである。

その感想は、いろんな角度から少しずつ書きたいが、本日は、たまたま、Facebook友達でいつの論戦をして楽しんでいる在日ビジネスマンのPreston Li(李)さんが久しぶりに帰国して感想を私のタイムラインに書き込んでいたので、それを論評する形で中の上あたりの中国人の生活についてまとめてみたい。

まずは、李さんの「久しぶり帰国中国人の感想」である。

小生も三年ぶり嫁の故郷四川に帰省し、昨日日本に戻りました。

「中国の激変ぶりにびっくり。

今回の四川帰省で、中国政府部門、軍隊に務める嫁の親戚・同級生何人に中国の近況を色々聞かせてもらった。

習近平政権になってから、腐敗に対する撲滅運動はかなり奏功して、ルール化、透明化により、腐敗・不正はかなり減ってる。

①軍隊もかなり厳しく整理整頓されて、不正は完全に無くなったとは言えないが、かなり出来にくい状況となってるそうです。

②不正の温床となってる道路建設・公共建設についても、ルール化・透明化され、入札評価をする専門家もランダムの抽選で決定され、不正はかなり出来にくい状況になってるそうです。

③政府は大金を投入し、厳しい環境汚染対策を真剣に取ってるそうです。

一例として、水源の汚染源となってる何十年ゴミ捨て場にした天然溶洞の現状復帰に億人民元単位をかけてるそうで、環境代償も経済代償も巨大です。

④安全の面においても、女性は夜中にも街中を歩いてるのを見ればわかるように、とても安全な国となってる。

⑤食の安全において、政府管理部門は監査・教育に躍起となって、一般市民、生産者、レストランの経営者までの意識もかなり高まってるようだ。

小生が食べに行った高級レストランから露店まで皆清潔で、料理もとても美味しかった。

⑥交通マナーはかなり向上してる。道の至るところに、監視カメラが設置されてるので、昔と違って、車は歩行者を日本並みに優先するようになってる。

⑦街も道路もトイレ、特にレストラン、高速道路のトイレは和式ばっかりだが、日本並みに綺麗になってる。ただ、レストランの分煙がなく、吸い殻もあっちこっち落ちってるのはイマイチだなあと娘も言った。

総じて、中国は想像以上に良くなってると中国人の小生も驚きました」

これに対する私の感想は、以下の通り。

①②の綱紀粛正は、トレンドとしては間違いなくそうでしょう。胡錦濤は利権をばらまいて指導者層の歓心を確保して統治したが、これは一時的に成功したが暴走であって、思い切った綱紀粛正は正しい方針だし、実際に効果も出ているし、末端にも及んでいる。

ただし、その傾向にあるということであり、とりあえずはということでもあり、まだら模様でもある。果たして長続きするか?巧妙化するだけではないか?社会全般に及ぶか?など不透明である。

③の環境対策だが、良い季節を選んで行っているので、どこまで一般論化できるか分からないが、対策はたしかに進んでいる。黄砂は植林が進んで一時ほどではないという人が多い。PM2.5が問題だが、スマホを使った街中どこでも乗り捨て放置可能なレンタル自転車が復旧してタクシーが苦境に立っているとか、電動スクーターが規制されないまま大人気。「日本は規制がきちんとしていてうらやましい」という声もあるが、環境対策としては効果抜群。環境意識は急速に向上の様子。

④治安は極めて良い。スリは多いようだが、「怖い目に」は普通に生活している限りは日本と大差ない。新幹線乗るのに、身分証明書(パスポート)のチェックが必要だし、航空機に準じた手荷物チェックがあちこちである。国民がパスポートに準じる公的な身分証明書なし生活している日本の現状は今後維持できるとは思わないし、テロの時代にそぐわない。この点については、中国の現状がヨーロッパのテロ対策先進国の常識的な水準であって過剰でも何でもない。痛い目に遭う前に日本も舵を切る必要あり。

⑥の交通マナーは、日本人の感覚からすれば荒っぽいが、無茶苦茶なスピード出しているわけでないので、重大な交通事故が多発しているという感じではない。都市計画がもともとしっかりしているし、インフラ整備のスピードが速いので問題解決能力は高い。

⑦トイレなどのレベルはまだまだ低いが、改善のスピードは素晴らしい。まっとうなトイレを探すのに苦労するということではもはやない。盛り場で普通にレストランに入って、古い油でお腹壊しそうというようなことはもうない。味のレベルもすべてのレベルで飛躍的向上。西洋料理の水準も1980年代のバブル前の日本と比べればそんなにひどくない。

結論として、生活レベルの向上はかなりのものだというのは間違いないし、中国人も総じて満足しているというのが、本日のところのお話。とはいえ、いまの中国に問題がないわけではもちろんないし、全体主義のままの中国が生活だけ良くなって国民も満足しているらしいと言うのが、別の意味での脅威であることもまた事実なのだが、それはまた改めて論じよう。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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