【映画評】スキップ・トレース

2017年09月04日 06:00
SKIPTRACE

香港のベテラン刑事ベニー・チャンは、相棒を殺した犯罪王ヴィクター・ウォンを9年間追い続けていた。ベニーは亡き相棒から娘サマンサを託され、大切に育ててきたが、彼女がヴィクターの犯罪に巻き込まれてしまう。過激な捜査で停職中の身のベニーだったが、サマンサを救うために、ヴィクターの犯罪現場を目撃していた詐欺師のコナー・ワッツを追ってロシアに向かうことに。ロシアン・マフィアに拘束されていたコナーを無事救出し、連れ戻そうとしたベニーだったが、なぜか二人とも追われる身になってしまう…。

香港の刑事とアメリカ人の詐欺師が逃亡劇を繰り広げるアクション・コメディー「スキップ・トレース」。ジャッキー・チェンが生真面目な刑事に扮し、悪徳犯罪王をとらえるため奮闘するアクション映画だが、物語はロード・ムービーの形をとっている。香港、マカオから始まる物語は、ロシアから、広大なモンゴルの草原を抜け、中国へ。遊牧民族や少数民族と触れ合い、彼らの文化や祭り、暮らしぶりを見ながら、美しい自然も堪能できる。ロシアン・マフィアとは何度も激しいバトルを繰り広げるが、どこかコミカルな掛け合いで、笑わせてくれるのも楽しい。ジャッキーのアクションと言えば、その時に身近にあるものや日常生活の小道具を使った創意工夫ある動きが特徴。本作ではそれもたっぷり見せてくれるが、ロシアの人形・マトリョーシカを使ったシークエンスは見事だった。ジャッキーは確かに歳を重ねたが、長年鍛えた身体は今もしっかり動くし、何より観客を楽しませる術(すべ)を良く知っている。

監督はフィンランド出身でハリウッドで大作映画を手掛けてきたレニー・ハーリン。なんとしばらく中国を拠点に映画を撮るそうで、アジアへ出稼ぎか?!と心の中でツッコんだ。それはさておき、ジャッキーの良さを十分に活かし、誰もが楽しめる娯楽活劇に仕上げた腕前はさすがだ。もの静かなジャッキーとお調子者のジョニー・ノックスヴィルのバディ・ムービーとしても相性がいいし、ファン・ビンビンは相変わらずの美女で目の保養である。そして犯罪王を追い詰めたクライマックスには、どんでん返しまで用意されているのだ。安心してみていられるのがジャッキー映画の良さで、ファンもそれを求めている。ジャッキー・チェンには、やっぱりこういうコミカルなアクション映画がよく似合う。
【60点】
(原題「SKIPTRACE」)
(米・中・香港/レニー・ハーリン監督/ジャッキー・チェン、ジョニー・ノックスヴィル、ファン・ビンビン、他)
(安心感度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年9月3日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Twitterから)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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