西安訪問記:中国人で満員で外国人観光客は不要?

2017年09月10日 11:30

洛陽訪問記を先に掲載したが、こんどは、西安訪問記だ。

今年3回訪中して思ったのは、中郷人は地理に関心が低いということだ。東方航空と海南航空に乗ったが、海南航空では機内誌に航路を示す地図もないし、画面でいまどこを飛んでいるか一切の案内はなかった。東方航空では、北京に近づいてから着陸までの時間などとともに少し出ただけ。

どこの町でも地図というものが少ない。ホテルでくれる地図も貧弱。ガイドにいまどのへんにいるのか聞いても極めてアバウト。ガイドの内容も歴史ばかりが、多く、車窓から見える遺跡などもほとんど解説せず。

今回はなんとかグーグル・マップを見ることができたので、やっと、いま自分がどこにいるか、どこの遺跡などの近くか分かって満足した。

さて、西安だが、兵馬俑はともかくものすごい人。ガイドがいうには、中国人がいちどは行きたいところとして、万里の長城以上の存在になりつつあるということ。一日に7万人平均、94%が中国人だそうだ。入場料は90元(1500円)だが、10月は150元。しかも観光客の吐く息で劣化が目立つので入場制限をするそうだ。予約はインターネット原則、パスポート・身分証明書必要。

兵馬俑一号坑のパノラマ写真(Wikipedia:編集部)

遺跡保存などのために、駐車場はずいぶんと遠くにあって、徒歩の時間は1時間くらいになる。

兵馬俑とだいたいワンセットになっているのは、始皇帝陵。まだ発掘されていないので、墳丘があるだけだが、それなりに感慨はある。生きているうちに発掘して欲しいと思う。

陝西省歴史博物館は、西安に都があった時代からの時代に沿った展示。非常に分かりやすい。京都にもこういう施設が欲しい。

大雁塔は長安の面影を残すシンボル的存在。上がるのは木製の階段が膝に優しいのでそれほど難儀でない。ただし、眺望は高いビルが多くなっているのでそれほどよくない。

空海が学んだ青龍寺は、日本の仏教界の寄付で再建されたようだが、安普請の工事で、ペンキがはげれ廃園直前のテーマパークのような無残な姿。ゼロ番札所を自称し、訪問した人の奉加帳が展示されているが、菅直人さんのものがいまと成っては痛々しい。だいたい、エンジニアらしい合理主義的な精神だった菅直人が妙に精神主義に陥っておかしくなったのはお遍路さんなんぞに行ってからのことだ。真言宗関係者以外は行くべきでない。

ただ、長安の都の東南にあるこのあたりは、高台になっていて、長安でもっとも標高が高かった。京都は北西が高いのだが、それと同じ。だから、創建時の宮殿は平安京で言えば羅城門のあたりにあるのと同じになる。そのあたりをバルコニーから眺められて長安の地形がよくわかったのが収穫。

経典翻訳の拠点だった大興善寺も最近されたハリボテ寺院だが、こちらは時間がたっていない分だけまだまし。

玄宗が暮らした興慶宮のあとの公園には少し風景の再現もあるようだが、連れて行かれたのは、阿倍仲麻呂の記念碑だけ。日本人の寄付で最近できた記念碑とか銅像なんぞなんの興味もわかない。青龍寺も阿倍仲麻呂の記念碑もコースから外すべき。どっちも最低。

陝西省美術博物館は、工芸品も陳列しているが、そのレプリカを制作し販売するのが主目的の珍しい施設。 なかなかレベルの高い復元であることは分かったがどうでもよい。

大明宮のあとなど長安の復元もかなり進んでいるようなので、そちらに行きたかった。行かないのは、入場料がかかるのと、土産物販売ができないからか。前漢時代の長安城(西安の西に隣接)の復元も進みつつあるらしい。

セミ自由時間は、南門とか鐘楼周辺を散策。これは明の時代の西安城だ。景観の復元もかなり進んでいるので、見応えあり。

食事は、基本的には普通の中華料理だが、西域的なスパイスが特徴。団体旅行のほかのメンバーで香辛料をあまり使っていない洛陽の料理を食べて「西安の料理と違って口に合う」といっていた人が多いので気がついた。

「徳發長」は有名な餃子店。さまざまな具の蒸し餃子が二十種類ほど出てくる。形も豚は豚の形とかいうので、奇抜なだけかと心配したが、上質で満足。全般的に中国の老舗料理店には大資本が投入されて支店も多くなっているが、質の維持をシステマテックにしているようで、日本以上にうまく機能している。

ただし、なんとも残念なのは、団体旅行だとほとんど羊が使われないこと。それはフランス旅行でもそうで、羊を使うと残す人が多いからだそうだ。だから、本来なら羊をつかうときに牛伊や豚に置き換えられている。それで、「口に合う」と喜んでいても良いこととは思えない。仕方ないともいえるが、日本人向きに味や素材をかえるならその旨を表示すべきだ。

それから中国では、豚の消費が減って、牛や羊が多くなっているようだ。羊が牛に置き換えられていることもある。

中国人に聞いたら、豚は小さい農家が生産しているので、薬など何使っているか心配ということもあるらしい。小さい農家の品質管理のいい加減さに気付かず、「お百姓さんは正直」などと誤解している日本の消費者より賢明だ。国産食品安全の最大の敵は生産者を信用しすぎる消費者と消費者団体の無知や確信犯的生産者擁護だ。

そして、「羊は安全なので人気がある。羊の生産者はイスラムの人が多いので、とても正直だ」という話しを聞いて唖然。なるほど、そういう漢民族なりの評価が存在するらしい。

西安で羊を食べないのでは、画竜点睛を欠くので、イスラム街に自由時間に行って、羊のロースト、スープ、羊肉饅頭を食べた。最高。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑