長期金利のマイナス化の背景

2017年09月11日 11:30

9月1日の債券市場では後場に入り債券先物が一段高となり、引けにかけて10年国債のカレント(直近発行された銘柄)である347回債がマイナス0.005%をつけた。10年国債のカレント物の利回りを日本では長期金利と呼んでおり、昨年11月16日以来の長期金利のマイナス化となった。

何故、日本の長期金利が再びマイナスとなったのであろうか。日銀がさらなる金融緩和を行うような兆しはない。むしろ国債買入をここにきて少しずつ減額していたぐらいである。それでは何が日本の長期金利を押し下げたのか。ここには2つの要因が絡んでいると私はみている。

日本の10年債利回りの推移をみると、7月7日に日銀が指し値オペを実施したあたりから、低下基調となっていた。この7月7日に10年債利回りは0.105%まで上昇し、0.110%で指し値オペが実施された。つまり日銀が国債利回りの上昇を抑制させたことがひとつのきっかけとなっていた。

7月7日に日銀は指し値オペとともに国債買入で5年超10年を5000億円に増額し、7月12日には3年超5年以下を3300億円に300億円増額していた。その後の利回りの低下もあり、5年超10年以下は8月25日に300億円減額したことで今年1月27日前の水準の4100億円まで戻していた。また、9月1日には3年超5年以下を300億円減らして3000億円と7月7日以前の水準に戻している。

日銀が買入額を減らすことは債券の需給面ではマイナス要因(債券の売り要因、利回りの上昇要因)となる。それにも関わらず、なぜここにきて長期金利はさらに低下基調を強めているのか。それには日銀が7月7日に長期金利の上昇に指し値オペでストップをかけたタイミングで、米国の長期金利も低下基調となっていたためとみられる。

日銀の指し値オペによって、米国債が買われることはない。米国債が買われて利回りが低下したのは、7月11日の米下院金融委員会の公聴会で、FRBのイエレン議長は「FOMCは向こう数か月、インフレの動向を注視していく」と指摘したように、米国の物価の低迷が背景にある。9月のFOMCでバランスシート縮小を決定する可能性を市場はかなり織り込んでいるが、年内追加利上げに関しては不透明感を強めている。ECBも正常化に向けた動きはかなり慎重となっており、ドイツの10年債利回りも7月14日あたりから低下基調となっていた。

このように米国の物価の低迷が米国債の利回りを低下させ、それによって日本の長期金利もマイナスにきで低下した。しかし、長い期間の国債利回りの低下は資金運用にとってもあまり好ましいものではないため、ここからのマイナス金利の深掘りは考えにくいことも確かである。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年9月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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