スペイン:モスクは多くあるが、導師は非常に少ない

2017年09月19日 06:00

elconfidencial.comより引用

8月17日にバルセロナで起きたテロ以降、スペインにおけるモスク(イスラム教寺院)の存在がより注目されるようになっている。そこでイスラム教を説教する導師(イマム)がイスラム教徒を過激派に導く可能性が今後も充分にあるからである。実際に、次の攻撃目標はマドリードだ、という誘いがイスラム国からなされている。

2004年3月にマドリードで起きた電車連続爆破テロのすぐ後の総選挙で、政権を担うことになった社会労働党政府のホセ・アントニオ・アロンソ内務相(当時)は同年の『エル・パイス紙』とのインタビューの中で「スペインのモスクで指導する導師をコントロールする為の法律が必要である」と述べていた。しかし、現在までそのような法律はスペインでは成立していないというのが現状である。アロンソ内務相は政治家になる前は判事であったということから法的に過激思考をもった導師を取り締まる 必要性をより感じていたようである。但し、今年から病院や刑務所などで説教する場合の導師は法的に事前に素性を調査できるようになっている。

スペインには現在合法化されたモスクが1508軒存在している。その数の多さに加え、非合法な形で存在しているモスクが800軒ほどあるというのである。非合法なモスクというのはビルの一階の店舗を仮設のモスクに改装したり、商店のひと間やガレージの中を同じくモスクにしているといった正式にモスクとしての体を成していない礼拝所のような場所である。

スペインのモスクで教義を受けているムスリムは凡そ200万人とされているが、スペインのイスラム教組織連盟から公認されている導師は僅か90人余りしかないというのである。よって、モスクの80%は正式に導師を雇っていないという問題を抱えている。そこで、臨時の導師を雇うことになる。その結果、バルセロナのテロを導いた導師アブデルバキ・エス・サティのように過激派で前科のある人物を導師として素性を知らずに雇うといった現象が起きるのである。

スペインのイスラム教組織連盟会長のムニール・ベンヘリンが指摘しているのは、「モロッコ、サウジアラビア、イランなどで教えている説教はヨーロッパでは通用しない。価値が違うからだ」と述べている。そして、「エジプトやモロッコからの導師が法学のファトワーを説いた場合があったが、その内容はスペインでは犯罪になるという場合があった」ことも語った。

この問題の解決の為に現在、同連盟が始動しているのは週末に30人余りを3年間集中講義をしてスペイン語も教え、将来的にイスラム教徒を指導出来る為の養成を展開しているそうだ。スペインにはイスラムの教義を教える大学は存在しないからである。

一方、スペインでイスラム教徒の増加しているのに合わせてサウジアラビア、アラブ首長国連邦そしてモロッコなどはスペインでのモスクの建設に積極的になっている。サウジアラビアはマドリードの環状線M-30沿いに1200万ユーロ(15億6000万円)を投資してスペインで最大規模のモスクを建設した。また、地中海に面した都市フエンヒロラ、マラガ、マルベーリャにもモスクを建設している。アラブ首長国連邦の場合はカタルーニャ州タラッサ市にモスクを建設した。

しかし、モロッコ・イラン友好協会の会員ファオージ・ヒバは「タラッサのモスクで説く説教はイスラム国のそれと大差がない」といってその危険性を訴えたそうだ。

タラッサではサラフィー主義が可成り根強く浸透しているという証言もあるという。問題はタラッサ市役所がそれに気付かず問題視していないことだという。その証拠に、市会議員が彼らと一緒に記念写真を撮るというレベルだと証言者は指摘している。

スペインでムスリム100人当たり57人が地中海に面したカタルーニャ州、バレンシア州、ムルシア州、バレアレス諸島州に在住しているという。その中でもカタルーニャには40万人のムスリムが在住しているとされている。それはスペインに在住しているムスリムの20%がカタルーニャ州に住んでいるということになるそうだ。しかも、その28%はモロッコ人だとされている。

そして、もう一つの現象としてムスリムでスペインのパスポートを取得している者が急増し、その数は110万人だという。彼らのスペイン国籍取得は警察にとって彼らの動きをコントロールし易いという利点がある。しかし、同時にEU内での移動が国境でのコントロールなく自由にできるということで、警察にとってその場合は彼らを追跡することが逆に難しくなるという点もあるとしている。

カタルーニャでのムスリムの比率が高いだけ、彼らを指導する導師が誤った指導をすれば、テロがまたカタルーニャで起きる可能性は高いということになる。先月のバルセロナでのテロのあともスペインはテロが再発する可能性は十分にあると見られている。

マドリードの場合は30万人のムスリムが在住しており、バルセロナと同じく過激派が育つ要素は充分にあるとされている。彼らの大半はモロッコ人、それにパキスタン、アルジェリア、セネガらからの出身者も在住している。

マドリードでの連続テロから13年経過した現在までテロに関係した捜査は220件あり、723人が逮捕されているという。

先月のバルセロナでテロが起きるまで、スペインでは遅かれ早かれテロがあると予測されていた。それは他のEU諸国と比較してスペインはイスラムとの接触が歴史的にも強くあり、ムスリムがスペインで居住する容易さもあるからである。

非合法のモスクなどには覆面警官やムスリムの協力者がイスラム教徒に成りすまして彼らの動きを監視しているそうだ。しかし、モスクの数が多過ぎて充分な監視が出来ないのが現状だという。

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