パチンコ:警察は「みなし機」を早急に撤去させるべきである

宇佐美 典也

ども宇佐美です。
さてパチンコ業界では警察が風営法施行規則を大幅改正することが決まり、その対応に大わらわになっているようですが、いわゆる「みなし機問題」についてどうやら全日遊連がめちゃくちゃなことを言い出しているようなので、簡単にコメントをしておきたいと思います。

まずは簡単に制度の説明から入りますと、現在全国のパチンコホールに設置されている遊技機は風営法上の扱いにおいて大きく3つに分類されます。風営法ではパチンコホールに対して、設置する遊技機が風営法施行規則第8条で定められた「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準」(いわゆる射幸性基準)を犯さないようにすることを義務付けています。とは言ったものの、警察が一目で特定の遊技機の出玉率やら役物比率やらを解析して射幸性基準を満たしているかどうかを判断するのは困難なため、事前に基準への適合を確認する制度が整備されています。このブログでも採算説明していますが、それが「検定」と「認定」です。

「検定」はメーカーの大量製造を前提に型式ベースで認可するもので、「認定」はホールが個別の遊技機単位で合法性を確認する手続きです。両方ともその期間は3年で、略称としては検定を取得した型式に属する遊技機を「検定機」、ホールが認定を取得した遊技機を「認定機」と言います。両者の関係性ですが、検定機の検定期間が切れそうになったら認定を取得する手続きを申請して認定機として営業に用いる、という関係になっています。一般的には

①メーカーが特定の遊技機の型式に関して検定を取得する
②ホールが当該型式に関する「検定機」を入荷して、最大3年間営業に用いる
③人気機種で3年過ぎてもなお営業に用いたい場合は、個別の遊技機に関して認定を取得して「認定機」としてさらに最大3年間営業に用いる

という運用がなされています。つまりホールは特定の遊技機を検定機として3年、認定機として3年、最大6年間合法性を保証された状態で運用することができます。

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さてこの「検定機」と「認定機」の他に「みなし機」と呼ばれるものがあります。これは「検定または認定期間が過ぎてもなお設置されている遊技機」のことを指します。このような遊技機の存在は警察が合法性を必ずしも確認していないため望ましくは無いのですが、一度検定または認定を通過した遊技機ではあるので、射幸性基準に照らして違法とは言い切れず「検定機または認定機とみなして合法と扱う」という処理をすることがあります。つまり「みなし機」とは一種のグレーゾーンで上図のように「期間切れの検定機や認定機を、検定機なり認定機とみなす」という文脈において「みなし機」というわけです。

ここでようやく本題に入りますが現在パチンコホール団体である全日遊連は「風営法施行規則の改正後もしばらくは『みなし機』を取り締まらないでくれ」という要望をしています。

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今回の風営法施行規則改正では既報の通り射幸性基準が大幅に強化されることになり、これが2018年2月に施行されることが予定されています。この結果、旧検定機、旧認定機、旧みなし機、が法的にどのように扱われるかを表したのが上図です。今回の規則改正では射幸性基準が大幅に強化されたので、旧検定機や旧認定機は新基準を完全に犯すことになってしまいます。ただ一斉に旧検定機、旧認定機を撤去するとなると業界が大混乱に陥りますので、激変緩和措置として経過措置がほどこされており、旧検定機、旧認定機はその取得期間の限りにおいて最大3年間は合法と扱われることになります。一方「みなし機」に関しては、経過措置が手当てされていません。そのため従来グレーゾーンであったものが今度は完全に違法ということになります。つまり全日遊連の主張は「法律上根拠のない違法行為を見逃せ」と言っているに等しいめちゃくちゃなものです。

私としては今回の規則改正の内容自体は疑問を覚えるとこも多々ありますが、日本は法治国家なのですから、少なくとも規則改正を実行する以上は警察もちゃんと法律通りに運用して「みなし機」は新規則施行前に早急に撤去させるのは当たり前のことでしょう。

さすがに警察もこのような法治国家にあるまじきパチンコ業界の要望を認めるとは思えないのですが、釘問題からのパチンコ業界と警察のなぁなぁぶりを考えると、こうした無茶苦茶な主張も認めかねないので不安に思っています。そして全日遊連に関しては「お前ら本当に懲りてねぇのな」とただただ呆れるばかりです。こっちが言ってるのは「法律を守れ」っていう当たり前のことなんですから、そろそろ目を覚ましましてくださいよ本当に。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「宇佐美典也のblog」2017年9月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のblogをご覧ください。