林業の成長産業化と規制改革

2017年09月21日 06:30

政府の規制改革推進会議は9月11日に『当面の重要事項―チャレンジを阻む岩盤規制を打ち破る―』を決定した。年内を目途に解決の道筋を示すべき重要事項として、電波割り当て制度の改革のほかに、「林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の実現のための改革」が選ばれている。

規制改革推進会議は「小規模・零細で管理経営困難な森林所有者が多い中、意欲のある持続的な林業経営者に集積・集約化する仕組みづくり」を検討するそうだが、具体的に何が問題なのだろうか。

情報通信政策フォーラムではこの問題を取り扱ったことがある。榎並利博氏(富士通総研)を講師に招いたセミナーで指摘されたのは森林の相続についての課題であった。森林は固定資産であり相続登記が必要であるが、法律上は任意行為である相続登記は手続きが煩雑で大きな費用が掛かるため、登記しない相続人も多い。住民登録外の不在地主が死亡した場合、死亡者の代わりに相続人が固定資産税の納税を続けると当該自治体は気づかない。このような未登記が何代か続き、納税が途絶えたころには森林の所有者が不明になる。森林は荒れ放題となるが、所有者不明では意欲のある持続的な林業経営者への集積・集約化もままならない。

この課題の解決には、不動産登記簿に所有者のマイナンバーを登録するように義務付けるのがよい。規制改革推進会議がこの方向性を打ち出すように期待する。なお、マイナンバーの利用対象を拡大するには共通番号法の改正が必要になるが、戸籍に付与しようという動きと合わせれば実現の可能性がある。

このほか規制には直接関係しないが、供給側の観点で林業を振興する林野庁と需要側の観点で国産材による優良住宅の建設促進などを進める国土交通省が連動していないなどの課題もある。この点については、今年の行政事業レビュー公開プロセスで指摘し、すでにアゴラで記事にした。

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