社内でネガティブ情報が集まりやすい場所とは?!

画像はテレビ放送収録特別版。

ある日、上司の井上役員から私の元に電話が掛かってきた。「A社のプロジェクトの件。誰が適任か迷っているんだ。君はどう思う?」。当初は営業担当の鈴木マネジャーがプロマネを任せられていた。鈴木マネジャーは有能だったが、それゆえにプライドが高く、社内ではちょっとした問題児らしい。私も面識はあるが良い印象は持っていない。

井上役員が候補として推薦してきた人物はシステム部の山本リーダーだ。その判断を任せられた。私はさっそく社内調査に乗り出した。わが社の命運を担うプロジェクトだから失敗は許されない。しかし有益な情報は得られなかった。気落ちしながら食堂に向かう。食券を購入し、カウンターで注文した品を受け取る。

社内で情報を収集する

そこで、当初のプロマネ候補、鈴木マネジャーを発見した。私はその近くのテーブルに座った。食事をしていると、会話の内容が聞こえてくる。「システムの山本は使えねえ。個人的な飲食代の経費清算ばかりしてくる」「上には気に入られているみたいだよ」「マジか、やってらんねえな」。思わず、私は必死に耳を傾けていた。

さて、あなたが会社で情報を集めたいと思ったらどのようにするだろうか。コソコソと動くと警戒をされるだろう。実際問題、役職者でなければ収集しにくい情報が存在する。特に、組織人事などの情報や、会社のネガティブ情報を吸い上げることは困難である。取引先に会社の評判を聞いても知りたい情報は入ってこない。

一般的な情報であれば、上場企業は比較的容易に把握することは可能だが、中小企業ではそのような情報は非公開である。これは簡単には情報収集はできない。しかし、非常に簡単な方法で収集することができる場合がある。一つが食堂である。人事部や総務部などのコーポレートスタッフの近くに座れば情報が収集しやすくなる。

食事中は、口は滑らかになるものだ。また、人事部や総務部の社員は他部門の社員から煙たがられていることが少なくないので交流がない。何回か機会をつくって親しくなることが第一段階である。他愛も無い会話を重ねながら本質に迫ればよい。場合によっては「ここだけですが」と話を持ちかけてもいいだろう。

あなたが情報収集屋であると同時に、情報提供者になれば良いのだ。人事部や総務部の社員は、他部門のことを恐ろしいくらいわかっていない場合がある。だから、情報提供者は喜ばれる。食堂には不特定多数の社員が存在する。開放感があるが、周囲の目を気にしておく必要があることが言うまでもない。

食堂の次に情報が集まるのが「タバコ部屋」である。いまは完全分煙をひいている会社が多いが、タバコ部屋は小さいスペースであることから情報が集まりやすい。喫煙者にとっては休憩も兼ねて行くので、仕事のことや仕事以外のことも気軽に会話できるメリットがある。会社によっては、社内のおエライさんが来るときもある。

喫煙所で印象に残っていると(良い印象が前提だが)社内プロジェクトの際に声がかかるなどのメリットに遭遇する可能性が高まる。飲み会以外での他部門との接触頻度を考えると、タバコ部屋が最も多いだろう。だから侮ってはいけない。他部署の課題や悩みを耳にすることで、組織全体を見渡す広い視野を持つことが可能になる。

情報収集と精査の難しさ

「007ユア・アイズ・オンリー」に次のようなシーンがある。ボンドがギリシャへ飛んだ際、ハブロック博士の娘メリナに接触し一緒に捜査を開始する。ボンドは現地の協力者クリスタトスから密輸業者コロンボがソ連の協力者だと聞かされるが、実は話が逆でクリスタトスこそが協力者で、しかも重要事件の犯人だった。

ボンドは騙されてしまい、メリナを拉致されてしまう。この作品はオープニングでボンドが妻トレーシーの墓参りをするシーンが印象的だ。トレーシーは『女王陛下の007』のエンディングでボンドと結婚式を挙げるが(唯一ボンドと結婚したボンドガール)、その直後にスペクターの首領ブロフェルドによって射殺される。

007シリーズ中、もっとも悲劇的なエンディングとして話題になった。ジョージ・レーゼンビーが出演した唯一の作品でもある。レーゼンビーを知らない人が多いと思うので、キャプチャー画像をご覧いただきたい。この画像は、テレビ放送収録特別版として発売されたもので、いまでもAmazonなどで入手可能だ。

右がレーゼンビーで、左がトレーシーになる。この写真だけではわかりにくいが、レーゼンビーはモデルで活躍していたことから、歴代ボンドのなかで最もスマートで役にマッチしているとの声も少なくない。そして、ボンド役に抜擢される俳優に共通しているのが身長である。ダニエル・クレイグを除いて全員185cm以上になる。

ショーン・コネリー188cm、ジョージ・レーゼンビー188cm、ロジャー・ムーア185cm、ティモシー・ダルトン188cm、ピアース・ブロスナン187cm、ダニエル・クレイグ178cm。ダニエル・クレイグ以外は全員、黒髪で黒い瞳。当初、ダニエル・クレイグの評価は決して高くなかった。それを打破したのが圧倒的な存在感だった。

ちなみに筆者の身長は184.5cm、四捨五入すれば185cmだ。あくまでも身長だけの話だが。さて、話を元に戻そう。仕事や私生活で息詰まったとき、利害の対立を抜きに人々が寄り合い、雑談に花を咲かせる場が存在する。ここでは、情報の取捨選択が必要になる。やはりルートが大切であることを忘れてはいけない。

参考書籍
007に学ぶ仕事術』(同友館)

尾藤克之
コラムニスト

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