北朝鮮の核開発抑止効果が高いのはミサイル潜水艦開発では?

2017年09月26日 06:00

米軍のオハイオ級原子力潜水艦(Wikipedia:編集部)

さて、昨今北朝鮮の弾道弾及び核兵器開発が話題になっております。
前から申しておりますが、これらは「政治的な兵器」であって、使用したらそのときは、北朝鮮はおしまいなわけです

だから先ず使用されない。ただ独裁者が不治の病なんかにかかって、死なば諸共とか考えれば別でしょう。その場合でも周囲が使用を止めるとは思いますが。

だからといって備えが無くてはないとはいいません。ですから以前からぼくはMD整備には肯定的です。
ですが、それは「保険」として費用対効果を考えないといけない。

そもそも北が水爆やICBMをいつかは完成させるのは分かっていたことだし、国際社会の制裁があまり効果もないことも分かっていたはずです。

それが降ってわいた災難であるかのように、Jアラート乱発で、不要な恐怖を煽るのはいかがなものでしょうかね?

外交と軍事に強い安倍政権という「虚像」を信じている国民に不安感を与えて、落ち込んだ政権の支持率をあげるのが目的だろうと言われても仕方がないでしょう。安倍政権が外交と軍事に強いというのは完全なイリュージョンです。ついでに経済もそうですけどね。

イージスアショア導入もその支持率向上のための手段でしょう。
本来MDシステムはいろいろな選択がありますが、それが全くない。いきなり「この道しかない!」でアショアの一択です。

この人には思考力というものがないのでしょう。

ですからグローバルホークやオスプレイ、AAV7なども費用対効果、運用上の必要性も考えずに、アメリカ様からそそのかされて、とにかく買え、と自衛隊に押しつけたわけです。
結果自衛隊では補正予算をジャブジャブ使っても、他の装備の調達費や、維持整備費、需品などの予算が削られて装備の整備や訓練に大きな支障がでています。

つまりアメリカのいいなりになって、使えるかどうかも分からない装備に大金を掛けたために返って自衛隊の戦力を減退させているわけですが、気がつかない。

仮に北の核兵器と弾道弾が最大の安全保障上の脅威と認識していたのであれば、なんでこれまで早期警戒衛星や、レーザー兵器、各種プラットフォームに使える大型のUAVや飛行船などの研究を熱心にやってこなかったのか。あるいはMDシステム対応イージス艦のさらなる増強とかね。場合によっては陸自の師団何個か減らしても、R&Dや各種装備の調達に力を入れてくるべきだったでしょう。

それを今になって慌てた、あるいはモリカケ問題から頭晒すために慌てているふりをしているというのは随分と胡乱であるかと思いますよ。

さて国際社会が、北朝鮮の制裁に真面目に取り組まない原因の一つは、端的にいって我が国が舐められているからです。いくら安倍首相が「許さない」とか「断固として」とかいっても実効性が全くない。だから国連での演説でもガラガラだったわけでしょう。しかも大半の国にとっては対岸の火事です。

諸外国が一番震撼するのは我が国の核武装です。これは米国や中国、ロシア、韓国などの近隣諸国は勿論欧州その他の国にとってもこれはインパクトがあります。

理屈でいえば米国の核の傘は必要なくなり、日米関係も大きく変わるでしょう。
何しろ被爆国の日本が核武装するわけですから、あっというまに世界で核武装競争が始まるでしょう。

基本的に核武装はしたくないけど、国際社会が無責任ならウチも核武装するよ、いいの?
というメッセージを国際社会に与えるべきです。

その一番いいのがミサイル潜水艦の整備です。ミサイル原潜は世論のハードルが高いですが、通常動力のミサイル潜水艦を建造して通常弾頭のSLBMやら巡航ミサイルを搭載する。まあ島嶼防衛用だとか、色々理屈をつければ宜しい。昨今では通常動力潜水艦でも非大気依存型の動力を搭載した艦はかなりの期間潜行が可能です。

これを建造。運用すれば国際社会が手を打たないならば、ウチにも考えがあるよ、と強いメッセージを送ることができます。

自分の核武装をした上で核軍縮を求める方が、実はデモをしたり、折り鶴を折るよりも核軍縮が進むのかもしれない、という考え方があります。

急がば回れというやつです。いわゆる平和主義者には受け入れないとは思いますが。
百年清河を待つよりも、まずは日本が核武装をして、あるいはする意図をみせて、核軍縮を主導するという方法も検討だけはすべきじゃないでしょうか。

まあ、これだけの経済力もって核武装もすれば外務省の悲願である国連常任理事国加盟も夢じゃないかもよ。

実行力のない「決意」だの「断固たる意思」だのは鼻で笑われるだけです。
例えばドルが国際通貨として地位が揺るがないのも米国の軍事力と、NY市場の決済能力があればこそですよ。

裏書きのない「手形」なんて誰も相手にしませんやね。

そういう意味ではミサイル潜水艦と通常弾頭型SLBMの開発というのはインパクトがあるかと思います。

ぼくは原則我が国の核武装には反対ですが、タブーを恐れずこういうオプションも考えておくのが政治の役目ではないでしょうか。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2017年9月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑