【映画評】プラネタリウム

2017年09月28日 11:30
Planetarium [Blu-ray]

1930年代。アメリカ人スピュリチュアリストである姉妹、ローラとケイトは、降霊術ツアーでヨーロッパを訪れ金を稼いでいた。美しく聡明な姉ローラはショーを仕切る野心家で、霊感が強く純粋な妹ケイトは自分の世界に閉じこもる内気な少女だ。この美貌の姉妹の才能に魅了された映画プロデューサーのコルベンは、世界初となる心霊映画の撮影を持ちかける。華やかな都パリを訪れた姉妹は、映画製作に挑むが、上手く演じられないケイトに対し、ローラは女優としての才能を発揮し始める。一方、男女の区別なく火遊びを楽しむコルベンは霊感があるのはケイトだけだと見抜き、有害な電磁波を使う実験に挑んだ。信頼関係で結ばれているコルベンとケイトを目の当たりにして、ローラは激しく嫉妬するのだが…。

心霊術師の美人姉妹が、一人の映画プロデューサーとの出会いから運命を狂わせていく様を描くミステリアスなドラマ「プラネタリウム」。物語はフィクションだが、キャラクターにはモデルがいて、実在したスピリチュアリズムの先駆者、フォックス三姉妹と、フランスにトーキーを導入した伝説の映画プロデューサー、ベルナール・ナタンからインスピレーションを得たという。一見華麗に見える1930年代は戦争の足音が聞こえる不穏な時代だ。そこに、美貌の姉妹が繰り広げる神秘的な死者との交霊や、ユダヤ人映画プロデューサーの悲劇的な運命などが複雑にからみあい、物語はミステリアスで幻想的な色合いを帯びている。

上昇志向が強く野心家の姉ローラは女優になってスクリーンにその姿を焼き付け、霊感が強い妹ケイトは危険な実験によって自ら死へと近づいてしまう。姉妹の運命を狂わせるのはユダヤ人の映画プロデューサーのコルベンだが、彼もまた反ユダヤの風潮の中、組織的中傷の犠牲になっていく。愛憎が混在するこの3人が疑似家族のような関係になる展開は興味深い。姉妹の心霊術は本物か、偽物か。信じると見える霊の存在は、昼には見えないが夜になると見える星のように、あるいは、明るいと見えないが暗くなると見える映画のように、見えない世界を見せる、儚い願いなのかもしれない。

ナタリー・ポートマンは「ブラック・スワン」を彷彿とさせる知性と狂気が入り混じった迫力の演技を見せ、リリー=ローズ・デップは、ピュアな少女を初々しく好演しつつ、しっかり存在感を示している。決して分かりやすい作品ではないが、才色兼備のレベッカ・ズロトヴスキ監督の非凡なセンスが感じられる独創的な映画だ。
【65点】
(原題「PLANETARIUM」)
(仏・ベルギー/レベッカ・ズロトヴスキ監督/ナタリー・ポートマン、リリー=ローズ・デップ、ルイ・ガレル、他)
(疑似家族度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年9月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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