緊急寄稿:小池クーデターの構図を読み解く

八幡 和郎

都庁サイトより:編集部

民進党と一緒にはならないが、民進党から出たら受け入れるというのは、フランスのマクロン大統領が社会党などに対してとった戦術とまったく同じ。これは使える作戦と思ったのだろう。

もともとオランド大統領のもとで経済相だったマクロンは、社会党を飛び出して、前進党を結成し、保守の共和党が右寄りのフィヨン、社会党が左寄りのアモンという候補を立てたことで中道路線がぽっかり空いたのに乗じて優位にたった。

社会党の政治家たちは、社会党にとどまりつつ、与党化を望んだが、マクロンは社会党を出たら受け入れるという条件をつあぬいた(バルス元首相など一部については対立候補を立てないという妥協策も講じた)。

保守派に対しても同様に攻勢をかけてそれなりの人材を得た。また、中道派のモデムという党とは連合を組んだ。いってみれば、公明党を取り込んだみたいなものだった。

このパターンを小池さんは真似たのだろうが、公明党にあたる核がない。また、資金について民進党のもつ150億円といわれる資金はどうするのか。党としては移せないと思うが、個々の議員に配って、それぞれの政治団体に移す?そんなことしたら、非難囂々とは思うが。マクロンは資金は潤沢に準備していた。

いずれにしても、安倍、前原、小池、松井(橋下)のみんな政治思想も政策も良く似たもの。単なる権力闘争ということだ。稲田さんのような一部の取り巻きに甘くポストと利益配分に粗雑だったことのつけだ。

朝日新聞を始めとする自称リベラルの左翼メディアは、安倍首相でなければ誰でもよいということで、小池支持かもしれないが、日本からあらゆる意味で左派政党と左派的主張が消えるということか。

社会党系はダメだろうが、蓮舫とか山尾も入れてもらえるかもみものだ。

ひとつの焦点は自民党から石破氏らが出るかだが、小池さんの子分では納得できるのか?小泉進次郎が移れば革命だ。というより、安倍首相にないがしろにされた小泉純一郎の嫉妬のなせるわざか。

それと少し気になるのは、集まっている面子を見ると、皇室問題で安倍首相と違うニュアンスの人たちが多いことだ。もしそうなら、民主主義とか憲政主義の観点からちょっと嫌なことになる。

小池さんという独裁者が政権をとった場合、内政についてはたいしたことは起きないが、たとえ、総選挙で勝っても参議院はそのままなのでねじれ。それから、最大の不安は外交。小池さんの奇想天外な奇襲は国際舞台では通用しない可能性が強い。少なくとも慣れるまでにかなりの対価を払うことになるだろう。