安倍首相が「大義なき」解散という賭けに出た理由とは?

朝まで生テレビより:編集部

衆議院解散が決まった。28日に召集される臨時国会の冒頭で、安倍晋三首相が衆議院を解散する。そして10月10日公示、22日投票という流れだ。

野党や新聞、テレビなどのメディアからは、これは「大義なき解散」であり、「とんでもない横暴」だと一斉に批判が起きている。

現在、野党第一党の民進党では、議員の離党が相次ぎ、まとまりを欠いている。その民進党を8月に離党した細野豪志さんと、日本ファーストの会代表の若狭勝さんが新たに結成した新党はどうか。こちらも体制が整っているとはとてもいえない。だが、小池百合子都知事が代表になると宣言した。

この状態では、安倍首相が今こそ解散のチャンスだと考えるのも当然だろう。なにより臨時国会が開かれれば、森友学園、加計学園問題を追及されるのは、火を見るより明らかだ。野党やメディアがいう「大義なき解散」「疑惑隠しだ」という批判も、もっともだろう。

しかしながら、ひょっとしたら、安倍首相には、「大義」があるのかもしれない。

安倍首相は、アメリカが北朝鮮に武力行使を行なうかもしれないと考え、不安を抱いているのではないか。僕には、そう思えてならない。

アメリカのヘイリー国連大使は、北朝鮮に対し、「最高の措置をいま採らなくてはならない」と発言した。「アメリカは戦争を望んでいないが、忍耐力は無限ではない」とも言っている。マティス国防長官は、「韓国の犠牲のないように、軍事力を行使する選択肢はある」とまで語っている。

国連総会に合わせてニューヨークを訪れた安倍首相は、各国の首脳と意見を交わした。そこで、トランプ大統領の本音を探り出したのではないか。そして、アメリカの武力行使の可能性を確認したのだろう。

もしアメリカが、北朝鮮に武力行使するとしたら、いつになるか。11月に予定されている、トランプ大統領と習近平主席の会談の後ではないかと、僕は思っている。可能性でいえば、12月から翌年2月あたりが高い。

安倍首相にすれば、その前に体制固めをはかるのは当然だ。こうした理由で9月解散、10月選挙と考えたのではないか。だが、安倍首相はそのことをまったく説明していない。

僕の考えでは、安倍首相にとっては、いくら批判されようとも、この解散には「大義」がある。ただ、そうはいっても、解散となれば批判が強まる。選挙で自民党が議席を減らすことも十分に考えられる。安倍首相は「賭け」に出たのだ。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2017年9月28日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。