なぜLGBTをネタにしてはいけないのか

2017年10月11日 14:00

駒崎弘樹さんが怒っています。

LGBTの人々は「被害者面」してるのか?

普段から村本さんと交流がなく、彼の活動やツイートを追っていなければ、怒って当然の内容だと思います。同じ立場だったら、僕自身も激しい憤りを感じていたことと思います。

だけど、普段から村本さんの考えを知っていると、「待てよ」と引っかかるんです。おそらく、村本さんが言いたかったのは、「チビ」「デブ」「ハゲ」などが笑いのネタとして容認されているなか、「LGBTだけはNG」とすると、かえって差別になりかねないぞ、という警鐘だったのではないかなあと。彼の日頃の発言を見ていても、差別を助長するようなタイプの人でないことは一目瞭然ですし。

でも、今回のツイートだと、ちょっと真意が伝わりにくかったかもしれないなあ。村本さんがよく使う「おまえら」も、普段から彼のTwitterをフォローしていれば相手に対して愛情を込めた表現なのだと伝わるけど、やっぱり初対面の(というか面識もない)人にとっては、横柄で失礼に映ってしまう言い方だろうし。バカとか頻発するし。

でも、村本さんの指摘は本質を突いているとも思うんですよね。なぜ「チビ」「デブ」「ハゲ」ネタは容認されていて、LGBTネタはNGなのか。みんなで議論すべき点は、ここにあるような気がするんです。村本さんの考えは、「だからLGBTもネタにしていこうぜ」なのだと思うけど、僕はちょっと反対。やっぱり、「まだ早い」のではないかと思うんです。

“市民権”と言ったら語弊があるでしょうか。チビ・デブ・ハゲに関しては、恋愛においてマイナスに働いたりはするかもしれないけど、就職する上で不利に働いたり、親に勘当されたりする例って、まあ聞いたことないですよね。でも、LGBTはまだまだあるんですよ。生きていくのが窮屈なんですよ。あまりに不当な不利益が大きすぎる。だから、その境遇を隠して生きていかなくちゃならない。仮面をつけてなくちゃならない。

もっとLGBTについての正しい知識が広がって、誰にその事実を伝えても、「へえ、そうなんだ」と言ってもらえるような時代になったら、、就職でも不利にならない、親にも悲しまれたりしない、そんな時代が訪れたら、初めて「そろそろネタにしてもいいかもね」となるんじゃないかなあ。

いまは、残念だけど、まだそういう時代じゃない。もちろん、笑える当事者もいると思う。みずからネタにする当事者もいると思う。だけど、ネタとして受け入れられない当事者のほうが、いまは圧倒的に多いと思うんですよ。だから、僕としては公共の電波を使ってやるネタとしては、まだ早いのかなと。

“障害”についても同じことが言えると思うんですよね。まだネタとして受け入れられない人も多くいるから、障害ネタはやっぱり炎上する。だから、村本さんの言わんとするところは、僕自身もすごく理解できるんです。障害だって、LGBTだって、早くネタにできる時代が来てほしい。早く「ちょっとした違い」だと捉えてもらえる社会になってほしい。

でも、その前には、まだまだ超えなければならないハードルがある気がします。なので、村本さんには村本さんなりの切り口で、今後もそのハードルを超えていくお手伝いをしていただけたらな、と。そうしてみんながネタとして楽しめる社会になったら、思う存分、イジってください。このエロダルマを。


編集部より:この記事は、乙武洋匡氏のオフィシャルブログ 2017年10月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は乙武洋匡オフィシャルサイトをご覧ください。

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乙武 洋匡
作家、前東京都教育委員

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