地方を排除する希望の党 --- 堀江 和博

2017年10月14日 06:00

政界再編の引き金となった小池代表率いる希望の党。総選挙も公示され、選挙戦の構図も明らかとなった。民進党を大きく呑み込んだことにより、首都圏のみならず、全国においても多くの希望の党候補者が立候補することになったが、にわか仕込みの候補者選定には多くの批判が集中、当初の風は吹いていない。

大手メディアは中央政界の視点から報道を行う。しかし、総選挙は首都圏だけではなく、「地方」も一大戦場となる。では「地方」において、希望の党はどのように評価されているのか、知り得る範囲で述べたい。

リセットで困るのは地方

「ようやく地方創生事業が花開こうとしているのに、ここに来て、国の方針も交付金もリセットされたら、地方はたまったものではない」

ある自治体首長は、総選挙に際してそう述べた。安倍政権が推進する地方創生は、地方自治体にとって観光や地域活性化、教育子育て事業など自治体独自の施策に対して交付される貴重な財源となっている。ほとんどの地方自治体は自由に使える潤沢な財源を持ち合わせてはいない。高まる民生費・社会保障費の増加に対応するのがやっとで、本来取り組むべき人口減少対策に回せる予算などはほとんど無いのだ。

どこの地方自治体も、出生率を高め、若者の都市部流出の抑制、移住定住促進、地域資源の活用など、何とか地域を盛り上げようと取り組みを進めている。地方創生事業がスタートして約4年、ようやく総合戦略の計画から実行へと移行し、これからという時に、地方創生がリセットされるのは、地方自治体にとって迷惑以外の何者でもない。

地方活性化の手段は「道州制」

もちろん、希望の党が地方創生事業をリセットするとは言ってはいない。しかしながら、彼らの掲げる公約を見れば、全国の「地方」を真の意味で活性化するつもりが無いことがよく分かる。

希望の党公約より

9つの公約の中で地方に唯一言及しているものが、公約7「地域の活力と競争力の強化」というものである。「現場に任せれば元気になる。道州制を導入し、地域が自分で決めればムダもなくなる」とのことであるが、果たして道州制を導入することで地域は元気になるのか。

平成の大合併により、周辺町村の行政サービスは低下し、中心市に資本が集中する結果を一方で招いた。道州制は、同じようなことを都道府県レベルで行うということであり、各州の州都、関東なら東京、近畿なら大阪、中部なら愛知などの大都市に資源を集中することを意味する。州都以外の周辺県は一層の人口流出、行政サービス低下、地元経済の低迷を招くであろう。

道州制を議論する程度ならばいいが、地方活性化の一番の解決策として道州制を公約として掲げている希望の党は、事実上、中小地方自治体を「排除」し、日本を大都市中心の国に「リセット」するように思える。東京一極集中を是正するどころか、より一層促進したいようだ。

希望の党は東京の政党

以上の評価は、与党系・野党系問わず、地方自治体首長の大部分に見受けられる。つまるところ、やはり小池代表は東京の人で、「希望の党は東京の政党」なのだ。希望の党が掲げている公約や「12のゼロ」と呼ばれるものを見ると、地方に関連するものは少ない。この公約のターゲットは大都市の無党派層であり、選挙の為に作られた公約に過ぎない。地方を「排除」し、日本を大都市中心の国に「リセット」する政党に、果たして「希望」はあるのだろうか。

(「12のゼロ」についての批評は、八幡和郎氏「地方格差ゼロをなぜ希望の党はいわない」を参照)

堀江 和博(ほりえ かずひろ)
滋賀県日野町議会議員 1984年生まれ。滋賀県出身。京都大学大学院公共政策教育部公共政策専攻。民間企業・議員秘書を経て、日野町議会議員(現職)。多くの国政・地方選挙に関わるとともに、大学院にて政治行政・選挙制度に関する研究を行っている。

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