民進が希望を乗っ取れば民主主義の否定

2017年10月14日 19:00

波紋を呼んだ小川敏夫氏の発言(民進党YouTubeより:編集部)

民進党の小川敏夫参院議員会長が分裂した民進党の再結集を図る考えを表明したことについて批判が集まっている。

前原代表は「これほど有権者を愚弄(ぐろう)した話はない。民進党再結集は絶対にやってはならない」とし、立憲民主党の枝野幸男代表も、「(再結集に関し)私たちは新しく立てた旗を高く掲げて前へ進んでいきたい。後ろ向きのことは考えていない」と述べ、民進党には戻らない考えを明言している。

また、公明党の山口那津男代表は「選挙が終わったらよりを戻そうと言い出している。そんな人たちに日本を任せるわけにはいかない」とした。

選挙のときと違う政党に移ることは、その後に根本的な状況の変化がない限りは、禁じ手である。かつて細川内閣が誕生したときには、自民党で宮沢内閣不信任案に賛成した小沢グループは新生党を結成し、不信任案には反対したが今後は自民党の外で活動したいという武村グループは新党さきがけを結成して、それぞれ、総選挙を戦った。

それが民主主義で、彼らは選挙のあとになって自民党を離れたのではない。選挙のときと違う党に移ることをすぐに策したいなら、いまからでも立候補を取り下げるべきだ。

また、いったん誓約書にサインしたが、それを党内民主主義でひっくり返すというのも禁じ手だ。党の基本理念の遵守と党内民主主義は、政党というものの根本的な矛盾点ではある。もし、前者に拘るなら党の活力は失われるし、後者を優先したら乗っ取りが可能になる。

しかし、公認前にサインした誓約書の内容は、基本的には任期中は、それから大きく外れるべきでなかろう。いやなら、党の公認を受けるべきでない。

とはいえ、党内民主主義もそこそこ必要だから、議員のなかで、大きな割合を違う考えのグループがしめれば影響が大きい。

そうしたなかで、連合が旧民進の候補者を、希望・立民・無所属にかかわらず応援し、もともとの希望出身の候補者や、ほかの民進党議員にさきがけて民進党を離党して希望入りした人たちを排除しているというのは気になる。東京でいえば、14人の創立メンバーに入っていた長島、木内、松原、それに直後に合流した柿沢は推薦していないようだ。

もちろん、推薦するかどうかは連合の勝手だが、党全体として、その趣旨に共鳴して実質的な合流をきめたはずの、希望の党の創立メンバー、いわばファースト・ペンギンを、もともと民進党であった候補者も含めて応援しないというのは尋常でない。

理由としては、脱原発を希望の党が掲げたのが気にいらないとか、連合が強く支持していた一部の議員を排除したからだとかいわれるが、結果的にせよ、民進党のあり方が左寄りすぎるとか、共産党との協力はいかがなことかといっていたはずの従来の立場からして、解せないことだ。

いずれにせよ、有権者が希望の党に投票するのは、小池氏が示した政策を支持、あるいは候補者が誓約書にサインしたことを知ってのことだ。その党の方向性が選挙のときとあとで大きく変化するのはおかしい。

そういう意味では、希望の党全体の勢力がどうなるかはともかくも、ファーストペンギンたちをはじめ、より純粋に党の理念に忠実な候補者が多く当選しないとおかしなことにならないか心配だ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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