「人材のミスマッチ」で日本は下から二番目

10月末にヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社が世界33カ国の労働市場おける人材の需給効率を評価・分析した調査研究『グローバル・スキル・インデックス』の結果を発表した。わが国は「人材のミスマッチ」で下から二番目と評価された。

この調査では7つの項目を0から10で指標化し、最適は5.0で、0に近づくほど人材確保が容易、10に近づくほど人材確保が困難である。わが国は「教育の柔軟性」3.0、「労働市場への参加」6.1、「労働市場の柔軟性」7.0、「人材のミスマッチ」9.9、「全体的な賃金圧力」7.0、「専門性の高い業界における賃金圧力」0.1、「専門性の高い職業における賃金圧力」7.0と評価された。

「人材のミスマッチ」は9.9と異常に大きい。これは企業が求める専門性の高い人材の確保が著しく困難なことを示し、昨年度9.8から悪化している。原本となる英文のレポートによれば、わが国で不足しているのはモバイルアプリのエンジニア、データサイエンティスト、オンライン業界のマーケッティングマネージャー、医師などである。ルクセンブルグとスペインの指数が10.0、わが国の後にはスウェーデン9.8、ハンガリー9.5、米国9.3、デンマーク9.1、ポルトガル9.0などが並ぶ。

「専門性の高い業界における賃金圧力」0.1は異常に低い。ベルギーは0.0で、日本に続くのはUAEの1.5である。不足する専門性の高い人材を多く雇用する業界は高い賃金を提示していないし、「専門性の高い職業における賃金圧力」7.0が示すように人材の側もそれほど高い賃金を求めていないと解釈できる。

英文レポートは「人材のミスマッチ」を埋める手法としてフリーランスに注目している。米国ではこの10年間に全労働者の中でのフリーランス等の割合が10%から15%に増加した。欧州では全雇用増加率の4倍の速度で過去5年間フリーランスが増加していった。アジア圏ではオーストラリアとシンガポールでフリーランス比率が高い。フリーランスのような自由な労働の増加はモバイル環境の整備で加速されている、とレポートはまとめている。

わが国も柔軟な働き方を広めていかないと「人材のミスマッチ」は解消せず、世界に遅れるばかりだ。