120ミリ迫撃砲は来し方行き方。特科のリストラ

2017年11月03日 11:30

120mm迫撃砲(陸自サイトより:編集部)

来年から実際に120ミリ迫撃砲の普通科から特科への移行となるようです。もっともその最大の理由は現大綱で火砲が300門に減されたる特科の失業対策らしいですけども。

以前からぼくは陸自普通科の120ミリ迫撃砲は、特科に移行すべきだと主張してきました。それは普通科連隊の陣容、人員が貧弱であり、また兵站機能が更に貧弱であり、まともに120ミリ迫撃砲を運用できないからです。それに諸外国では120ミリ迫撃砲を砲兵で運用しているケースも少なくないですし。

特科に移した後、120ミリ迫撃砲は数を減らして自走化、できれば装甲化すべきです。ただし、96式みたいな前世紀の遺物は全部廃棄すべきです。使えない上に維持費だけが掛かっています。

UAEみたいに4×4装甲車に搭載するのも手でしょう。その種の軽装甲車両に搭載できる車載型迫撃砲はシンガポールのSTキネテックやらイスラエルのエルビット、IMIあたりで製品化しています。

数を減らして、自走化、装甲化し、また同時にネットワーク化と、精密誘導砲弾の導入をすべきです。そうでないとゲリコマに対処できません。副次被害を減らすためにも誘導砲弾の導入は必要です。
偵察用UAVの導入も無論必要です。

軍オタさんたちは、得てして予算という概念が理解できない人が多いわけです。何でもかんでも新兵器を大量に導入して問題なく、稼働率が確保できると思っている。

ところが、現実には予算の上限があって、新兵器を入れるならば数を減らす、つまり部隊を減らす、あるいは他の予算を削減する、例えば戦車の定数を300輌から100輌にするとかの必要があります。
毎年二桁軍事費を拡大してきている人民解放軍ですら、部隊を削減しているわけです。

ところが無敵皇軍、自衛隊は部隊数を減らすことができない。それはポストが減るからです。また基地を閉鎖することもできない。自治体が反対しますから。
結局、訓練費や燃料費、整備・修理費、需品等の予算を削減しているわけです。
そして益々実戦能力がすり減っていく。

全部必要と言い張っていると、全部が中途半端になり、役立たずになります。

そういうことが理解できない。

いつも言っていることですが、金勘定ができない輩は現実社会の軍事を語るな、と。
現実の軍事問題はおねいちゃんの軍艦とか、おねいちゃんが戦車に乗ったりするアニメやゲームとかと違うわけです。
漫画やアニメと現実の区別が付かないわけです。

この手合いに限って左翼を「お花畑」と揶揄しますが、お花畑は君もやで、てなところです。アレな人たちはそれが理解できず、自分は現実的な軍事通だと信じ込んでいるからたちが悪いです。

特科の調達にも問題があります。
未だに使い道もない99式自走榴弾砲を来年度も6輌要求しています。だけどね、どこが攻めてくるの?どこから連隊、師団単位の軍隊が揚陸してくるの? それともゴジラとか怪獣に備えているんでしょうか。

現在の主たる脅威は弾道弾を除けば、ゲリラ・コマンドウ、島嶼防衛でしょう。それは大綱でも明記されています。なのにレガシーで維持費のかかる装軌式の自走榴弾砲の調達をまんぜんと続けている。

本来ならば開発が終わった時点でお蔵入りにして、装輪式の自走砲に転換すべきでした。また今になってトラック搭載型の自走榴弾砲を国産化しようとしていますが、車体はMHIの重回収車が使いものにならず、MANの8×8が採用されるようです。

そもそも論で言えば、トラック型自走砲でも「FH70の砲を流用すればいいんです。たいして撃っていないし、まして最大射程なんぞで殆ど撃っていません。寿命は十分にあります。
装備を廃棄するのがもったいないならば、物品法を改正して装備をモスボール化するべきです。

何のためにどの程度の性能の、装備が、どのくらい揃えないといけないのか。また全体の予算のバランスや優先順位も考えないといけません。それと予備役性の拡充も必要です。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2017年11月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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