カタルーニャ前州知事らのブリュッセルでの滞在費は誰が負担?

2017年11月15日 11:30

カタルーニャの前州知事プッチェモンと同じく解任された4人の前閣僚のこれまでのベルギーの首都ブリュッセルでの滞在費は誰が負担しているのか?、という疑問は関心のある者の間で起きるのは当然である。彼らは既に閣僚を解任されており、州政府による滞在費用の負担はできない。しかも、スペインでの裁判から逃れるために人権尊重を専門とする弁護士ポール・ベカルトとも契約した。可成りの資金が必要な滞在である。

この謎を解く前に、プッチェモン前州知事の歩んだ道を辿って見る必要がある。

1981年から彼はカタルーニャで独立意欲の強いジロナ県を基盤にしたカタラン語の紙面『El Punt』で記者として勤務を始めた。

1999年にはカタルーニャ州政府の依頼で情報分野に新しいテクノロジーを導入するという目的でAgència Catalana de Noticies(ANC)をジャーナリストのシャビエル・フォルネルス(Xavier Fornells)と協力して首府ジロナ市で設立。

2004年からはカタルーニャの現状を世界に広く知って貰うために『Catalonia Today』という英字紙を創刊。勿論、創刊の根底にあるのはカタルーニャの独立を世界に流布することであった。

『Catalonia Today』は、その後二つの新聞、上述した『El Punt』と、もうひとつ『Avui』が合体して出来た『El Punt Avui』の中に合流した。同紙はテレビチャンネル『El Punt Avui TV』を誕生させた。このテレビ局の番組の中で英語によるインタビューで活躍するようになったのが、プッチェモンの夫人でルーマニア人のトポール・マルセラである。彼女は女優で、ルーマニアからの劇団のメンバーと一緒にジロナ市を訪問した時に、プッチェモンと知り合ったというのが縁の始まりであったという。

その後、彼女は『Catalonia Today』の編集長としてカタルーニャの独立の為にスペインを辛辣に批判する役目を担うのである。

これまでの彼の履歴でウイキペディアなどで記載されていないことで興味を呼ぶことをカタルーニャ出身のジャーナリストカルレス・エンリック・ロペスが明らかにしている。それは、上述紙『El punt』で編集長になってからのことである。それによると、プッチェモンは編集長というポストから必然的にテッラ・リウレ(Terra Lliure)というカタルーニャの独立を求めたテロ組織と関係をもつようになったというのである。この組織はカタルーニャで1991年まで存在していたテロ組織であった。当時、警察はバルタサール・ガルソン判事の指揮のもとに、この組織の撲滅にプッチェモンを内部通報者として利用したというのである。

ちなみに、ガルソン判事は英国に在住していたチリのピノチェト将軍を追訴した人物である。彼の独裁時代に多くの左派思想者が暗殺され、その中にはスペイン人も暗殺されたとして、同将軍はその最高責任者であるとしてスペインの法廷で裁くことにガルソン判事は挑んだのであった。

結局、それが要因となって、英国政府はピノチェト将軍の身柄をスペインに引き渡すか否か迷っていた時に、将軍自らが英国に迷惑が及ぶことを避けたいとしてチリに帰国した。この経緯が動機となって、南米で独裁者を裁判にかけるための手段が見つかったとして、南米の判事は勇気をもって独裁者を裁判にかけることに掴むようになったのである。その一番良い具体例が、アルゼンチンの軍事独裁者ビデラ将軍らが裁かれるという出来事に繋がったのであった。

さて、本題に戻って、プッチェモンがその後うつ病になり『El Punt』を辞めて1年間ヨーロッパに放浪の旅に出たという事実がある。それは正に、本人も意識しないうちに内部通報者となっていたということを後悔したのがヨーロッパへの放浪の旅を導いたということなのだと想像される。

2014年9月に実施された独立を問う住民投票を主導したとしてマス前州知事は有罪の判決を受け、公職に就くことが禁止された。その後任に当時ジロナ市長で、マス州知事に推挙されたプッチェモンが2016年1月に州知事として就任するのある。プッチェモン州知事はマス前州知事がカタルーニャの独立の為に築き挙げていた外国のシンクタンクとの関係維持や、カタルーニャの独立の為に活動している組織や人脈との接触を受け継ぐのである。

その中で一番の柱となっていたのが、米国のシンクタンクIndependent Diplomat(ID)との関係である。IDは2004年に英国人カーン・ロス(Carne Ross)によって設立されたシンクタンクで、その資金を賄っているのがオープン・ソサエティ財団(Open Society Foundation)である。この財団のオーナーがジョージ・ソロスであるのは良く知られたことである。

ジョージ・ソロス氏(Wikipediaより:編集部)

カタルーニャ州政府はマスが州知事の時に2年間でコンサルタント料としてIDに160万ユーロ(2億800万ユーロ)を支払っている。(出典:okdiario.com

放送権などで広い分野において支配しているメディアプロ(Mediapro)の経営者チャウメ・ロウレス(Jaume Roures)は英国でソロスの傘下にある広告代理店グループWPPの株主であり、また彼の周囲で活躍している人脈は独立支持派の人たちで、マス前州知事の側近として活躍していた。プッチェモンはそれを全て引き継いだのである。

CATmonという組織もカタルーニャの独立を目指す組織だ。このリーダーカルレス・ビリャルビー(Carles Villarrubi)の夫人はコカ・コーラ・ヨーロッパ・パートナーズの社長を務めているソル・ダウレリャ・コマドゥラン(Sol Daurella Comadrán)で、彼女はカタルーニャ州政府の外交委員会Diplocatの役員でもある。そして、Diplocatはオープン・ソサエティ財団からカタルーニャの独立を支援するための資金として27,049ドル(325万円)を受けていることが明らかになっている。同様に、カタルーニャ政府のシンクタンクCIDOBも同財団から24,973ドル(300万円)の資金が提供された。(出典:voltairenet.org

即ち、これは一度だけの記帳であるが、オープン・ソサエティ財団からカタルーニャの独立を支援して資金が提供されているということの一例である。

プッチェモンと前閣僚4人がブルッセルに滞在しているその費用がオープン・ソサエティ財団から出されているという証拠はない。しかし、カタルーニャ州政府とカタルーニャの独立を支援している同財団との繋がりは深く、彼らの滞在費が同財団から出されているという可能性は十分に考えられることなのである。

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