セクハラ騒動付きの委任状争奪戦、決戦の行方は?

2017年11月21日 23:00

JPホールディングス公式サイトより引用

前社長のセクハラ騒動で異例の注目を集めるJPホールディングス。まもなく22日午前10時から臨時株主総会を迎えるが、先週この問題をアゴラで書いた後も、委任状争奪戦の激しい舞台裏を物語るように、現経営陣と、前社長の対立はノーガードのボクシングを思わせる展開になっている。

まず前回のおさらい。前社長の山口洋氏が現経営陣との路線対立から、筆頭株主でもある前社長が経営の関与度を強めようとして社内取締役1人の解任と、社外取締役1人の選任を提案。一方、2年前の社長辞任当時は体調不良を理由にしていたのが、現経営陣側が前社長のセクハラ行為があったと公表し、浴衣姿の女性従業員と露天風呂に“混浴”した写真が週刊ポストに掲載される騒ぎになっているところまでは書いた。

混浴スキャンダルの創業者が、保育事業に復帰画策ってマジ?

第三者委員会でセクハラ認定も、郷原弁護士参戦で風雲急

その後、先週末(17日)になって動きがあった。

前社長らのセクハラ情報を調べていた、3人の弁護士でつくる第三者委員会が報告書を会社側に提出。公表されている報告書(概要)によれば山口前社長が、特定の女性従業員と食事に出かける様子などを社内で目撃されていたことを指摘した上で、セクハラ行為をあらためて認定している。

(略)また、業務時間外の食事や社員旅行において、前代表者(筆者注・前社長のこと)が、同席した女性従業員の前で性的な話をしたり、女性従業員の身体に過度に接触するところを、役職員からしばしば目撃されている。

一連のセクハラの指摘や報道に対し、前社長は一貫して否定をしているようだ。そして同じ17日。報告書とは別の開示レポート(16日付)においてセクハラを指摘されたことを受け、前社長は、とうとう名誉毀損を主張して会社側を相手取る訴訟を起こした。

JP 社に対する訴訟提起のお知らせ

アゴラ的に興味深いのは、おなじみの郷原信郎弁護士が前社長側の代理人としてこの騒動に参戦したのが明らかになったことだ。おそらく名誉毀損訴訟を提起するに至ったのも、郷原さんの助言ではないかと思われるが、ここにきて前社長側の反撃のボルテージが上がっている。第三者委員会のレポートの序盤(P9〜11)には、代理人に就任した郷原さんが、第三者委員会側の弁護士に対し、調査手法の問題点を指摘して調査期間の引き延ばしを要求するなど、プレッシャーをかけてきた経緯が明らかにされている。もちろん、第三者委員会側の視点で書かれたものではあるが、会社側からすれば知名度、手腕ともに揃った強敵が出現したようにみえよう。

そして、その郷原さんも早速ツイッターで「現経営陣が墓穴を掘った」と指摘していたが、


第三者委員会では、前社長とともに、現経営陣のセクハラ行為も認定。毎日新聞では見出しにもなった(現社長もセクハラか 第三者委が指摘)。

株主総会前日にまた“おどろおどろしい”記事が

ただ、これについては報告書で「前代表者と比較すると頻度は低い」ともされてはいて、郷原さんが現経営陣を辛辣に批判するのは前社長側のポジショントークとしては当たり前だろうから、株主、顧客、メディアはこのあたりをどう評価するべきか。もちろん頻度の多寡の問題ではないが、前社長は、週刊ポストで“混浴シーン”が載ってはいる(本人はセクハラの意図は否定)。また、訴訟テクニカル上の問題があるのかもしれないが、会社と同時に版元の小学館に対しても訴訟提起しなかったことへの疑問は残る。

こうしたなか、株主総会前日になって、今度はビジネスジャーナルが前社長側に追い討ちをかける記事を突っ込んできた。

JP、前社長の壮絶なパワハラ認定…地獄のセクハラ社員旅行

タイトルからして、おどろおどろしい中身だが、

「宴会では気に入った女の子には無理やり飲ませて、ときにはキスしたり、女性社員に絡むことも一度や二度ではありません」(50代社員)

といったように、前社長のセクハラやパワハラについて証言する社員の声を集めている。このあたりの証言を突き崩せるのか。

政権効果で追い風のはずの社業は…

真相はともかく、現状はまさに「泥仕合」の様相だ。株価もこのひと月余りで434円から340円(21日終値)と著しく下落した。衆院選で、安倍政権が社会保障の全世代型転換として「2兆円パッケージ」を組み、2020年までに32万人分の保育園整備を掲げ、さらに駒崎さんや小林史明さんが指摘するように民間推計では88万人分の隠れ需要までも指摘されている。

(駒崎氏)実は、政府は保育園ニーズを読み間違えている

(小林氏)子育てを社会全体で支える時代へ、小池都政に期待する2兆円“貯金”の投資

“保育業界”としては本来追い風のはずだが、前社長の“セクハラ醜聞”で週刊誌沙汰にまでなったお家騒動が影を落としているのは間違いない。

前社長側は、総会前日に出したリリースによれば、第3位の株主、医薬情報研究所などと合わせた議決権35%以上に加えて順調に積み上げていることを強調している。社員、そして顧客が一連の騒動をどう見ているのか、社業、業績への影響もありそうに思えるが、株主の判断が注目される総会は午前10時スタート。前社長は会場には欠席すると表明している。

【追記(19:00)】日経の速報によると、臨時株主総会で前社長側の提案は否決された。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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