あなたのまちの公共施設は稼げているか? --- 山本 ひろこ

2017年12月04日 06:00

目黒区議会議員の山本ひろこです。

「民間の活力を活用します!」と、内閣府の主導で、最近どの自治体でも使われている指定管理制度。小泉政権期の民営化改革により、2003年の地方自治法改正で導入されたものです。

その数はH27年4月時点で76,788 施設 。公営住宅の管理を除いた指定管理導入率は、全国平均で52.2%。もはや、スポーツ施設から、美術館、福祉施設まで、公共施設の半分は民間が管理する時代です。

総務省調査による都道府県別の導入率を見ると、トップは千葉県と神奈川県で、なんと100%。ちなみに、東京都は10位の64%、最下位は長崎県の24.6%です。これは都道府県所有の公共施設の導入率で、市区町村は除いてあるので、県内の全ての公共施設が民間管理というわけではありませんが、地域差が激しいことがわかります。目黒区でも多くの施設で指定管理制度を使っており、議会の都度、指定管理者の指定についての議決があるくらいです。

制度を利用していないよりはしている方が、民間活力を活用しているということにはなります。しかし、ここで行政にありがちなのが、形式的な制度導入。業務委託と違い、指定管理者の指定には議会の議決が必要なため、議会に諮ることになります。議員が審議するので、それなりの情報公開と妥当性が必要とされる、という点は良いのですが、果たして本来目的である民間の知恵と工夫を十分に活用できるほどの自由度があるのかというと、そうでもない。業務基準として、山ほど条件をつけているのが実情です。

委託との大きな違いの1つは、指定管理者(事業者)が施設の使用許可を持つところ。ですが、実際は業務基準にて指定されていて、自由な裁量など殆どありません。

大きな違いの2つめは、指定管理者(事業者)が条例の範囲内で利用料金をプレビュー定め、自らの収入にできるところ。こちらも、「幅広い住民に利用してもらうため」安価な設定を必要とされ、大概は自由な料金設定などできないように基準を定めています。利用料金を収入にできるとしても、利用料で運営費を賄えないので、結局は「指定管理料(委託費)」として税金が投入されています。

利用料金で賄えないなら、施設の徹底活用で収益を図れないか、と考えますが、こちらも制限をかけられていることが多い。運用方法に厳しく制限を課していれば、結局は税金頼りで運営していかざるを得ません。指定管理制度の前には管理委託という制度がありましたが、大多数の自治体が、管理業務を委託するために指定管理制度を使っている、というのが実情で、『民間の活力を活用します!』はお飾り文言と化してしまっています。

指定管理者制度導入で再生した旧大阪市立博物館(現ミライザ大阪城サイトより:編集部)

その理由として一番多いのが、事業者の自由度を高めるとサービス品質が下がる、という懸念ですが、品質基準はしっかりと契約で定めれば良い話です。大阪城公園のPMO事業のように、指定管理者が自由にその知恵と工夫を発揮できて、十分な収益を上げている事例もあります。単なる公園の指定管理でなく、より魅力的な施設となるよう公園と公園施設の一体管理を事業者が行い、委託費のない独立採算制で成り立つだけでなく、大阪市に2億2600万円と、事業利益の7%を納付するという仕組み。まさに指定管理制度の優秀事例です。園内にはロードトレインというミニ列車が周遊し、元市立博物館はオシャレな複合施設として再生され、魅力的なイベントを頻繁に行っています。民間企業ならではの知恵と工夫がしっかり活かされることで、質が下がるどころか上がるからこそ、人が集まり、多くの収益が生まれるのです。

過去、役所がどれだけ公共施設の投資で失敗してきたか。利益を出さないと倒産してしまう民間企業と異なり、役所には安定的に税金が入ってくるので、そもそも利益性という認識自体が欠けています。むしろ、公共施設なので利益性を求めていないとさえ言う。このようなスタンスでは、いつまでたっても規制だらけの形式的な民間活用しかできないでしょう。

運用方法によっては稼げる公共施設はたくさんあるのに、行政が主導するせいで民間の知恵が活かしきれない。少子高齢化時代で税収が限られ、福祉費が増え続けるなか、赤字垂れ流しの事業ばかり行えません。稼げる施設は民間主導の運営で最大限活用してもらい、しっかりと収益性のある施設に転換する。

行政が本当にこの必要性を感じているのであれば、『民間の活力を活用します!』と形式的な制度導入をするのではなく、『民間に知恵と工夫を発揮してもらいます!』というスタンスで、それに見合う自由度のある契約設定が必要ではないでしょうか。あなたのまちの公共施設は、稼げていますか?

山本ひろこ 目黒区議会議員(日本維新の会)
1976年生まれ、埼玉大学卒業後、外資系企業でITエンジニアとして勤務しながら、3児をもうけるも、保育園入所率ワースト1の目黒区にて保活に苦戦し、行政のありかたに疑問を抱く。その後の勉強会で小さな政府理論に目覚め、政治の世界へ。2015年、目黒区議選に初当選。夫の病気を機に健康管理士取得。現在は東洋大学院公民連携学研究生。

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