生命保険会社はブラックか?保険営業から見た実態とは

2017年12月05日 06:00

保険営業についてどのような印象をもっているだろうか。会社のお昼休みに来て、あめ玉を置いていく。たまに、「アンケートお願いします」といって机のうえに用紙が置いてある。しかし、よく見ると、家族構成やとにかく個人情報に関する項目が多いが管理は大丈夫なのか。月末になると、頼みもしないのに営業マンの瓦版(手作り冊子)が配られる。

相手がやり手で、こちらに知識が無いとかなり手強くなる。本体が軽自動車、オプション数百万円をつけているような人をたまに見かける。いやいや、だったら最初からベンツを買ったほうがいいではないか。ところが、会社の大株主が保険会社ということも多いから、冷たくあしらうこともできない。なかなか難しいものである。

今回は、『成績のいい人はモテる人』を紹介したい。著者は、ファイナンシャルプランナーの下澤純子(以下、下澤氏)。シングルマザー、資格なし、経験なしの工場パートから、実体験をもとにステップアップした実践書になる。

いいお客様ばかりではない

――保険営業にはある特徴がある。なにしろ業界イメージが昔のままの人が多い。

「保険は、家族のため、自分のために加入するものです。そのために知識を提供したり、人生設計をしてあげるのが保険営業の仕事なのです。営業はその部分に対しての正当な報酬を得ていますから、頭を下げる立場ではないのです。私は、お客様の方からお礼を言われるようになり、初めて保険営業が楽になったのを覚えています。」(下澤氏)

「保険営業は、お客様より上の立場で、教える立場になる必要があるのです。だからといって態度に威圧感があると、完全な売込みになってしまうので注意が必要です。」(同)

――なかには、「入ってやってる、入ってやる」という態度の人がいる。営業は断る勇気を持たなくてはいけない。理不尽な要求をしてくる相手にも注意が必要だ。

「目先の数字がほしいのは、よく分かります。でも、その契約をいただくことで苦しくなることを私は経験しています。『その案件はやめておきなさい』と、 言ってくれる上司だと、心強いんですね。私に多かったのは、ネットワークビジネスとの交換条件での契約、宗教の勧誘との駆け引き、物品販売、そしてデートの誘いです。」(下澤氏)

「相手にイニシアティブがあり支配する側にまわられると面倒です。本来、こちらが上の立場(教える立場)にいれば、こうしたことは起こらないはずなんです。こちらが教える立場になることで、質のいいお客様も増えてくるはずです。」(同)

――逆に、○○してもらえない、という理由で離れていく客もいるが損切りするつもりで開き直ったほうがいい。「これ以上支配されない」ことの安堵感のほうが大きい。

上司や代理店に言いたいこと

――ノルマによる告知義務違反というものがある。これをどのように考えるのか。

「私の時代には、ゴミ箱や机を蹴飛ばした上司もいました。当時はパワハラという言葉もなく震えるのみで、どこから数字を持ってこようと考えていました。収入のことは考えられません。今の数字をどうしよう、それしか考えられなくなるのです。結果、告知義務違反や、不正に契約をいただくことにつながってしまいます。」(下澤氏)

「目標があるのは大事なことです。過度なノルマは、危うさを生み出します。ノルマのない保険営業というのは、コンプライアンス違反を防ぐ意味でも大切です。」(同)

――それには、定期的な挙績を上げることが可能な実力が必要になる。その結果、女を武器にしている保険営業も少なくない。見た目も派手だからすぐにわかる。

「あっせんしているのは上司というのも少なくありません。お客様を交えた交流会の席で、上司が、お客様である社長に対して『あの子とこの子、どちらにしますか?』と話しているのを見たことがあります。大切なことは、『色気』よりも、『気遣い』。相手に対する『気遣い』のできる人は、お客様にとって必要な人なのです。」(下澤氏)

――知人で、ある生保会社でトップセールスに上り詰めた営業マンがいた。社内で何回も表彰されている。ところが、上のポジションに上り詰めると下がったときが恐怖だと話す。そう言いながら、対面して書く逆さ文字があまりにキレイで感動したことを覚えている。トップセールスになる営業マンはこういうテクニックがあるのかと感心した。

日本の生命保険の市場規模は、約40兆円(生命保険協会)でアメリカに次ぐ世界第2位の保険大国である。しかし、各社によるパイの食い合いは激しさを増し、昨今の「告知の簡素化」はモラルハザードを引き起こしている。顧客が保険金支払いをした際、申込時に「告知義務違反」があったとして、支払いを拒否されるケースが増えているのである。

本書は、生命保険業界を知り尽くした下澤氏が語る実践書である。過酷な営業ノルマでブラックとも言われる業界の実態はどうなのか。あなたが保険営業なら壁にあたった時に一読をおすすめしたい。気持ちが少し楽になるかも知れない。

参考書籍
成績のいい人はモテる人』(ファストブック)

尾藤克之
コラムニスト

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